原産地 地中海沿岸
科名 キク科
特徴 草本・多年草
抽出部位 花
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 アンゲリカ酸エステル(アンゲリカ酸イソブチル、アンゲリカ酸イソアミル、アンゲリカ酸メチル)、カマズレン
「ローマンカモミール」のご紹介
可憐な花の代名詞とも言える野菊によく似たハーブがあります。可愛い花を咲かせるカモミールは、もっとも古い薬草の一つに挙げられる植物です。
カモミールにはいくつかの種類がありますが、精油を抽出してアロマに利用されることが多い「ローマンカモミール」をご紹介します。
「ローマンカモミール」は、どんな植物?
キク科の多年草の植物です。初夏になると、野菊の様な黄色い中心部のある白い花びらを持つ小さな花が咲きます。葉は細く、茎は横に広がる傾向があります。見た目の可憐さと違い、とても強い草花で、踏みつけられても枯れることなく成長していきます。その様な強い生命力を持っているので、庭の小道の脇などに植えられました。また、小規模でしたら芝の様にグランドカバーとしても植えられています。踏んでしまっても枯れない上に柔らかで優しい香りがあたりに漂います。
「ローマンカモミール」の主な産地
ヨーロッパや北アフリカが原産とされています。暑さには弱い植物ですので、温帯域のヨーロッパや北アフリカなど地中海沿岸で自生している所が多くあります。名称の由来としては、昔、ドイツの作家がイタリアのローマで見つけたので、「ローマンカモミール」の名前が付いたとの言い伝えがあります。精油の産地としてはフランスやイタリア、ハンガリー、イギリスなどヨーロッパ各地で栽培されています。湿度と高温の対処に気を付ければ日本でも栽培することが可能です。
「ローマンカモミール」の香りと特徴
「ローマンカモミール」の薬効成分は花の中心部にある黄色い部分に集中しています。水蒸気蒸留によって精油を採り出していますが、花だけ使う場合と葉も一緒に抽出する場合があります。カモミールは古代ギリシア語で「地上のリンゴ」という意味を持ち、一般的には青リンゴに似た匂いと言われている甘酸っぱく優しい香りがします。精油を抽出する時の副産物である芳香蒸留水も精油と同じように使われることがあります。古来より薬草として使われていましたが、ヨーロッパでは虫よけやそれに伴う疫病よけとして床に撒かれていて、踏むとリンゴのような柔らかい香りが立ち上るのも効果的だったようです。
「ローマンカモミール」の使い方の例
小児にも使えます
「ローマンカモミール」は、精油の中でも数少ない小さな子供でも使えるオイルです。不機嫌だったり、むずかったりする時に「ローマンカモミール」の香りを漂わせると、ひとまず落ち着くようになります。
中枢神経を鎮静させる
不安感がある時や色々な事を我慢している時など、ストレスで気持ちが落ち着かない時には肩が凝ったり、頭痛がしたりします。そんな時には「ローマンカモミール」の香りでゆったりしてください。芳香浴や入浴に使ってみて下さい。
肌の不快に
蕁麻疹や湿疹などで、皮膚に炎症を起こし痒みなども伴っている時に役立ちます。手作りの軟膏やローションでスキンケアを行ってください。乾燥肌や脂性など、どんな肌にも使えます。高齢の方や子供でも大丈夫です。
「ローマンカモミール」を使用する時の注意点
キク科の植物です
キク科の植物は薬用やお茶など食用にもされることがあります。精油を飲用することはありませんが、皮膚についた時にアレルギー反応を起こすことがあります。特にキク科のアレルギーがある方は絶対に使用しないでください。
特定の薬剤を飲んでいる方
神経に作用する成分があるので、睡眠剤や鎮静剤などを飲んでいる方は使用しないでください。薬剤の効果が大きくなりすぎて危険な状態になる可能性があります。
香りが強い
精油をブレンドして使う時などはわずかな量でも十分です。たくさん使うと「ローマンカモミール」の香りだけが勝ちすぎて、せっかくのブレンドが台無しになってしまいます。
妊娠中の方
女性ホルモンに働きかける成分があります。作用は優しいので、安定期以降は使えますが、妊娠初期は体も敏感になっています。使用は避けた方がよいでしょう。
「ローマンカモミール」のまとめ
最古の薬草の一つであり、高齢の方から小さい子供まで使える「ローマンカモミール」は聖なる草でもありました。古代エジプトでは太陽神に捧げた植物でした。様々な神経系の民間薬として長く人々の暮らしを支えてきた薬草でもあります。また、踏まれても成長する生命力の強い植物なので、不幸な目にあっている人を励ます役にも立ってきました。そして、「ローマンカモミール」は植物のお医者さんとしても知られていて、周りの草花を元気にしてくれると言われています。見た目の華やかさはありませんが、「ローマンカモミール」は人も植物も幸せにしてくれる草花と言えるでしょう。
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