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ベチバー(Vetiver)

原産地  インド
科名   イネ科
特徴   草本
抽出部位 根
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   ベチベロール、ベチボン、ベチベン、ベチベロン

「ベチバー」のご紹介

 縁の下の力持ちとも言える精油があります。いくつかの有名な香水を作るために欠かせない精油ですが、主となる香りではありません。「ベチバー」は、大地を思わせる香りと色を持ち、香水の質を引き上げることのできる力のある精油です。

「ベチバー」は、どんな植物?

 イネ科の多年草で、ススキや茅の様な見た目をしています。草丈は成長すると2~3mにも及びます。秋から冬にかけてススキの穂の様な紫色の小さな花が咲きます。「ベチバー」は、原産地と言われるインドの南部地方で使われるタミル語で「まさかりで刈る」と言う意味の単語が語源とされています。日本での名前は「クスクスカヤ」または、「カスカスカヤ」と言います。これは、インドでの「ベチバー」の名前である香り高い根を意味する「クスクス」若しくは「カスカス」からきています。

「ベチバー」の主な産地

 「ベチバー」はインドが原産地とされています。高温多湿を好む植物ですが、温暖な気候の地域で十分な降水量が見込める所であれば育成できるので、寒冷地でなければ栽培は可能です。現在はアジアをはじめヨーロッパや中央アメリカ、南アメリカなど世界中の広い範囲で栽培されています。日本でも温暖な九州で小規模ではありますが、栽培され精油が作られています。とは言え、原産地のインドが最大の生産地となっています。

「ベチバー」の香りと特徴

 乾燥させた根を水蒸気蒸留法で精油を採り出しています。精油の色は濃いこげ茶色をしていて、粘性が高いのが特徴です。重みのある大地の香りや干し草の香り、燻されるような匂いなどと形容される、どこか懐かしいような香りがします。香水の様な華やかさや爽やかさはありませんが、香水を作る時には欠かせない精油です。揮発性が低いので香りを長く留める事ができて、元の香りに奥深さを加える事もできます。また、この精油は上等なワインの様に時間と共に熟成して香りの深さが増してきます。

「ベチバー」の使い方の例

落ち着きをもたらす

 公私共にやることが多く、何から手を付けていいかわからないような軽いパニック状態の時や、ストレスでイライラする時に「ベチバー」の香りを試してみてください。大地に包まれる根っこの精油は、気持ちを落ち着かせて安定させてくれます。寝室に柔らかく香らせれば安眠の手助けにもなります。

体の中の循環を手助けする

 血行を促進する効果があります。手足の先が冷たくなる末端冷え性などには、手軽にできる足湯で使ってみてください。鎮痛作用もあり、筋肉痛や関節痛のケアにも使えます。冷えからくる肩こりや腰痛にも効果があります。入浴時にバスソルトや入浴剤として使用してください。

スキンケア、ヘアケアに

 「ベチバー」だけで使われることは少ないですが、好みの精油とブレンドして使ってください。ニキビや吹き出物のケアや乾燥してカサついた肌の手当に、ローションや化粧水で使ってみてください。また、フケの予防にも効果が見込まれます。

「ベチバー」を使用する時の注意点

香りが強力

 他の精油とブレンドすることの多い精油です。「ベチバー」は香りが強いので、ごく少量を加えてください。また、長時間にわたって香りが残ることも考慮して使用してください。

香りの違い

 生産地が広範囲にわたっているので、育成地の条件によって香りに差が出ています。好みの香りが見つかったら産地を覚えておくのがよいでしょう。また、時間とともに香りが変わるのも特徴ですので、その点も考慮してください。

妊娠中のかたや小児について

 強い香りと作用があるので、妊娠中の方、特に初期の方は使用を控えてください。また、小児のいる場所では使わないほうがよいでしょう。

「ベチバー」のまとめ

 「ベチバー」は南アジアの各地で古くから様々に使われてきました。イネ科の中でも非常に長い葉は日よけに使われ、マットなどの日用品の素材として重宝されています。香り高い根は、古来より宗教的な儀式に欠かせない薫香に使われ厳かな空間を作り出していました。この香りは虫よけにも効果があり、衣類だけでなく住空間の防虫にも役立っています。「ベチバー」は別名「ウサル」や「ベチベル」とも呼ばれ、アンモニアを分解する成分があるので、デオドラントにも有効です。この植物は、非常に強い根を地面の深い所まで伸ばすので、傾斜地の土が流れ出さないように土止めとしても植えられています。「ベチバー」は、根の香りだけでなく、草全体が人々の暮らしの中に溶け込んでいる植物なのです。

 

 

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