原産地 サハリン
科名 マツ科
特徴 木本
抽出部位 枝葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 リモネン、α‐ピネン、カンフェン、β‐ピネン、酢酸ボルニル
「トドマツ」のご紹介
日本の中でも北海道は大地と呼べる広い平地があります。もちろん、高い山もあり、ここにしかいない動物や植物も数多く生息しています。「トドマツ」も北海道を代表する樹木で、古くから一番多く使われていた木材です。近年では素材としてだけでなく、精油も抽出されるようになってきました。
「トドマツ」は、どんな植物?
「トドマツ」はマツ科モミ属の針葉樹です。モミ属にはおよそ40種の樹木があり、北半球の冷涼な地域から温帯域に生息しています。樹高は20~25mになり、幹の太さは60~80㎝くらいになります。大きなものでは樹高が30mを超える木もあります。「トドマツ」の漢字は椴松で、枝が年ごとに長く育ち枝が下から段の様に見える事から「椴」の字が当てられました。針葉樹ですが、葉の先の方は丸みを帯びています。新緑の頃には若い葉が鮮やかな緑色で花が咲いているように見えます。
「トドマツ」の主な産地
原産地はロシア連邦のサハリン、別名樺太島と言われています。日本では北海道に分布していますが、太古の時代では本州の北部にも生息していた痕跡が残っています。北海道には針葉樹だけでなく広葉樹も多く、針広混交林と呼ばれています。北海道より北に行くとほとんど針葉樹だけになってしまいます。針葉樹は「トドマツ」の他にエゾマツやカラマツなどがありますが、モミ属の木は「トドマツ」だけで、数も他に比べて多く自生しています。自生している杉が無かったことから、「トドマツ」が建築用の木材から日用品などの木工品として利用されてきました。
「トドマツ」の香りと特徴
「トドマツ」精油は、葉の付いたままの小さな枝を水蒸気蒸留法で抽出しています。基本的には日本人になじみのある樹木の香りです。その中に爽やかで甘みのある果物の様な香りと、わずかにツンとしたカンファーの様な匂いが混じります。樹皮が傷ついた時に分泌される樹脂は、いわゆる松ヤニの様な油臭さがあります。しかし、精油の多い葉からは清々しい森の香りがします。
「トドマツ」の使い方の例
緑に包まれる時間を
「トドマツ」の香りには大きな森林浴効果があると言われています。樹脂の脂臭さと葉の清涼な香りが相まって、正に森の中にいるような気持ちにさせてくれます。日常の忙しさや煩わしさを忘れて自分自身に「お疲れ様」の時間を過ごしてください。また、空気を綺麗にする効果もあるので、ルームスプレーを作って利用して下さい。抗菌作用もあり、玄関先などで使えば風邪の予防効果も見込まれます。
呼吸器の手当に
風邪やインフルエンザなどの病気や、街中の汚れた空気によって傷んだ喉を労わることができます。殺菌や抗菌作用もあり、気管支炎や鼻水のケアにも有効です。カップにお湯を入れ、精油を1~2滴たらして蒸気吸入してみてください。痰を切る効果もあるので、のどが楽になるでしょう。
スキンケアには芳香蒸留水を
「トドマツ」精油はお肌のお手入れには強すぎます。しかし、精油を採り出す時に出来る芳香蒸留水と言う副産物が役に立ちます。芳香蒸留水も精油と同じ成分が含まれているので、湿疹や感染症の手当にも効果があります。化粧水としても使えるので、香りを楽しみながらお肌のお手入れに役立ててください。
「トドマツ」を使用する時の注意点
妊娠中の方や小児の使用について
基本的には禁忌の無い精油ですが、精油はその植物を凝縮したものです。健康でも身体が敏感になっている妊娠中の方や、小さい子供には使用を控えた方がよいでしょう。
皮膚刺激
精油を直接お肌につける事はないと思われますが、稀に皮膚刺激を起こす事があります。お肌が敏感な方は注意しながら使用してください。
「トドマツ」のまとめ
北海道は江戸時代までは蝦夷地と言われていました。北海道の名前になったのは明治になってからです。この地には、大変古くからアイヌの人々が大自然の恵みをうまく使い暮らしていました。アイヌの言葉で椴松はフプと言います。「トドマツ」の樹脂はあかぎれなどの薬として使われ、紫色の雌花や果実は食料として、樹皮や小さな枝は狩りの時に使う小屋の材料として大事な木材でした。樹脂は接着剤としても使われていたようです。このように、当時のアイヌの人々にとってなくてはならない「トドマツ」ですが、現在も北海道では重要な森林資源となっています。「トドマツ」の新しい活用方法として、精油の抽出が行われるようになったのは比較的最近の事です。近年では和精油の種類も増えてきているので、「トドマツ」精油の様に新たな国産の精油も開発されるのではないでしょうか。
コメント