原産地 日本
科名 コウヤマキ科
特徴 木本
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 セドレン、セドロール、リモネン、α‐ピネン、ゲルマクレンD
「コウヤマキ」のご紹介
日本は広い意味では仏教徒の多い国です。宗派も多数あり、各地に伝統のある寺院が建立されています。その中の一つ、空海(弘法大師)が開いたのが真言宗です。聖地である高野山には、その名前を冠した樹木があります。「コウヤマキ」はお供えにも使われる木です。
「コウヤマキ」は、どんな植物?
松の仲間です。分類はコウヤマキ科コウヤマキ属で、コウヤマキ(高野槙)1種しかありません。とても高く育つ針葉樹で、樹高は30m以上にもなり、綺麗な円錐形に育ちます。葉の付き方に特徴があり、枝の途中から枝を取り巻くように広がっています。葉は松葉より若干広く、平らで長くなります。また、実にも面白い特徴があります。松ぼっくりに似た実の先から複数の葉が生えてきます。常緑樹ですが、寒さに弱いので寒冷地では冬に葉が茶色くなってしまいます。
「コウヤマキ」の主な産地
「コウヤマキ」は日本の固有種で、福島県より南の本州と四国、九州の一部に自生しています。特に名称の由来となった、和歌山県の北東部に位置する高野山一帯ではとても大事にされている樹木の一つです。およそ1,200年前に弘法大師空海が、今の中国から持ち帰った仏教の教えを伝えるために修行の場や寺院を作った場所です。標高1,000mほどの山々に囲まれた一帯は、そこに建てられた寺院など、様々な建造物も含めて2004年にユネスコの世界遺産に登録されました。
「コウヤマキ」の香りと特徴
葉や葉の付いた枝を水蒸気蒸留法で抽出している、鋭く強い樹木の香りの精油です。「コウヤマキ」は、お寺などのお供えにも使われる樹木です。お供えに使われる枝は、葉が上を向いた見た目に美しいものが好まれます。しかし、自然の作り出すものは人間の思うようにはいきません。使用目的に不向きなものは、廃棄されることがほとんどです。その廃棄される端材を使って「コウヤマキ」の精油は採り出されています。しかし、材料1㎏から精油はたったの1㎖しか抽出できないので、希少な和精油となっています。
「コウヤマキ」の使い方の例
気持ちの切り替えに
「コウヤマキ」の香りは木の匂いを凝縮したような香りです。木々の立つ山や森の中にいるような、気持ちを落ち着ける作用があります。リラックスと共に気分転換してリフレッシュできる両方の効果が期待できます。また、針葉樹の精油に多く含まれる成分によって、安眠の手伝いもできます。
身体の不調に
忙しい現代人は、落ち着ける時間がなかなか取れない人も多いのではないでしょうか。神経を張りつめて日々を過ごしていると、ストレスが溜まり、身体に不調を覚える事があります。血行促進やそれに伴う疲労回復の効果も見込めるので、おやすみ前のアロマバスなどで心も身体も癒して、明日への活力を生み出してください。
爽やかさを求める
優れた消臭効果があり、抗菌作用もあります。夏の暑い時やスポーツ後に汗をかいた時などにデオドラントスプレーで活用してください。清々しい樹木の香りは清涼感もアップさせてくれるでしょう。
「コウヤマキ」を使用する時の注意点
お肌について
基本的にはスキンケアに使用しない精油です。しかし、入浴や芳香浴でもお肌に異常を起こす可能性があります。特に敏感肌の方は、注意が必要です。パッチテストを行い、異常が無くても低濃度で使用してください。
強い精油です
「コウヤマキ」は数十メートルにも育つ大木になる木で、精油はその木を凝縮したものです。素晴らしい効能がありますが、作用が強く働く事もあります。健康であっても身体が敏感になっている妊娠中の方や、まだ身体が出来上がっていない乳幼児には使用しないほうがよいでしょう。それ以外の方が利用する場合も濃度には気をつけてください。
「コウヤマキ」のまとめ
「コウヤマキ」には色々な逸話があります。最近のエピソードでは、美しい木の形が東京スカイツリーのモデルになったと言われています。高野山近辺で大切にされている「高野六大木(こうやりくぼく)」と言う杉や檜、赤松など六種類の樹木があり、「コウヤマキ」もその中に含まれます。真言宗の開祖である空海が、お供えに使う植物は華やかなものを使わないとしたことから、高野山近辺ではお供えに花を使わず、たくさん生えていた「コウヤマキ」を使うようになったと言われています。その為、高野山では「コウヤマキ」を霊木として扱っています。この地で必要があって伐採された「コウヤマキ」は、必ず次の木を植えるようにして数が減らないようにしています。県単位の自治体の中には「コウヤマキ」が絶滅の危機に瀕している所もあるので、いかに大事にしているのかが分かる査証ではないでしょうか。
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