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シスタス(Cistus)

原産地  地中海地域山岳地帯
科名   ハンニチバナ科
特徴   木本
抽出部位 葉と樹脂を含む枝
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   ビリディフロロール、α‐ピネン、酢酸ボルニル

「シスタス」のご紹介

 聖なるものと不吉なものを兼ね備えた植物があります。芳香のある樹脂は薫香に使われ、花の特性から悲しい花言葉をつけられています。「シスタス」はゴジアオイ(午時葵)の学名です。

「シスタス」は、どんな植物?

 「シスタス」は、ハンニチバナ科のゴジアオイ属に含まれる低木のギリシャ語による学名です。ゴジアオイ属の原種は約20種で樹高が50~100㎝くらいの低木です。初夏に咲く花は、白または、ピンクの5枚のシワのある花びらを持ち、おしべやめしべのある黄色い中心部に近い所には濃い赤紫色の斑があります。この花は、お昼(正午)頃に咲き、夕方までの数時間でしぼんでしまいます。このような花の咲き方なので「私は明日死ぬだろう」と言う花言葉が充てられています。しかし、木全体としては次から次へと花が咲くのでヨーロッパでは庭木として人気のある樹木です。

「シスタス」の主な産地

 地中海沿岸の比較的乾燥した山勝ちの地域が原産地と言われています。高温多湿を嫌い、アルカリ性の土壌を好む樹木ですので、岩場や砂地のような所で自生しています。耐寒性はあり、少しの寒さはでは枯れません。ヨーロッパ各地やアフリカの北西部に当たるモロッコでも栽培されています。園芸用には、品種改良が進められて様々な品種のものが作られて各地の庭を彩っています。精油を採るためには、フランスのコルシカ島やポルトガル、モロッコなどで栽培されています。

「シスタス」の香りと特徴

 葉を含む枝は樹脂を含んでいます。それを水蒸気蒸留法によって精油を抽出しています。深みのある樹木の香りで、一説にはムスクのような香りと称されることもあります。ムスクとは麝香(じゃこう)の事で、簡単に言うとベビーパウダーの様な温かみのある香りです。「シスタス」の芳香成分は300以上あり、実際はとても複雑な香りを持っています。そのような特性があるので、育成された土地によって香りに違いが出てきます。気に入った香りは生産地を記憶しておいた方がよいでしょう。

「シスタス」の使い方の例

心を落ち着ける

 古代では神聖な儀式などで薫香としても使われた香りです。ストレスや緊張を解く手助けになります。また、安心して眠れる役にも立ち、瞑想用にも使えます。ほんのり香るくらいで使ってください。

呼吸器のケア

 抗菌作用や抗ウイルス作用があります。風邪の引き始めなどで、のどが痛い時や鼻が詰まってしまった時に「シスタス」の蒸気を吸入して手当してください。

あらゆるお肌のお手入れに

 「シスタス」は、古来より皮膚の不調を治療する薬草として使われてきました。殺菌や抗菌作用があるので、ニキビや吹き出物のケアに利用できます。また、収れん作用と皮膚の再生を促す効能があるので、老化によるシワやシミのケアにも有効です。手作りの石鹸や化粧水で利用してみてください。ケガの治療には軟膏を作ってみるのがよいでしょう。

「シスタス」を使用する時の注意点

妊娠中の方

 女性ホルモンを刺激する成分があるので、妊娠中の方は使用を控えてください。また、授乳中の方も使用しないほうがよいでしょう。

名称について

 「シスタス」はゴジアオイ属の学名です。精油の名称としては、他に「ラブダナム」や「ロックローズ」、「シストローズ」など、他にも数多くの呼び名があります。名称が違っても学名は変わらないので、学名を確認して購入するとよいでしょう。

香りが強い

 樹脂から採れる精油は香りの強いものが多いです。強い香りは悪臭になる可能性もあるので、使用量に注意しながら利用してください。また、肌の弱い方は、しっかり薄めて使用する事をお勧めします。

「シスタス」のまとめ

 ハンニチバナ科の植物はとても珍しい特性を持っています。トリュフで有名なキノコと同じ仲間の菌と共生しています。そのおかげで栄養素の少ない土地でも成長して花を咲かせることができるのです。荒れた土地でも咲き、薬効成分もあったので古来より人々の暮らしに役立ってきました。キリスト教の聖書に書かれたミルラ(没薬)や、「シャロンのバラ」と呼ばれる理想郷に咲く花がゴジアオイであると言う説があることもうなずけます。数時間しか咲いていないので半日花と呼ばれますが、次々と花が咲くので最盛期には樹木全体が花に覆われて素晴らしく見応えのある植物です。最近では品種改良によって多少湿度の高い所でも育つものが作られています。日本でもこの花を見る事ができるようになったのは嬉しいことではないでしょうか。

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