原産地 日本
科名 スギ科
特徴 木本
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 α‐ピネン、リモネン、サビネン、テルピネン‐4‐オール、γ‐テルピネン、エレモール
「スギ」のご紹介
日本の家は木と紙で出来ていると言われていました。現在でも木造の家屋は多く建造されています。それを支えている木材には多くの種類がありますが、杉は日本最古の木材であり、用途も多い素材です。その中で、精油として利用されるようになったのは比較的最近のことです。
「スギ」は、どんな植物?
杉はヒノキ科スギ亜科スギ属、またはスギ科と表されています。日本の固有種で1つの種しかありません。常緑の針葉樹で、葉は針葉樹らしい短い針のような形状の葉が密集して生えています。特徴的なのは、枝が上向きに伸びる事です。水分が多い肥沃な山間部を好んで育つので、山の多い日本の地形に合う樹木と言えます。自生している杉は非常に深くまで根を張るので、土砂災害に強いと言われています。逆に植林された杉は根が浅いので風水害に弱いようです。
「スギ」の主な産地
北海道を除く日本の各地に自生しています。北海道には杉がありませんでしたが、植林された杉があります。地域によって木の質や色が違うことから、各地に特有の品種があります。鹿児島県の屋久島にある屋久杉(縄文杉)や、奈良の吉野杉、京都の北山杉、など多くの地域で特有の品種が植林されています。また、秋田県の秋田杉は天然の杉林で、日本三大美林の一つです。非常に長寿になる木なので、神社の御神木として樹齢数千年の巨木も多く存在しています。
「スギ」の香りと特徴
杉の葉を水蒸気蒸留法によって「スギ」精油を抽出しています。ヒバやヒノキなど、他の樹木系の香りに似ていますが、「スギ」には柔らかさがあり、優しい木の香りです。以上が「スギ」精油に関しての基本的な事柄です。しかし、杉は日本の各地で育成しているので、地域によって香りに若干の違いがあります。気候の違いや土壌の差によって木の質も変わります。また、精油の抽出方法の違う物もあるので、気に入った香りを見つけたら産地や生産者を覚えておいた方がよいでしょう。
「スギ」の使い方の例
本来の自分に
「スギ」精油の香りは森林浴効果が大きいとされています。古来より日本人にとって身近にあり、様々な用途で使われてきた杉の香りは安心感と落ち着きをもたらしてくれます。多忙な現代人を癒すゆっくりとした時間に「スギ」の香りはお勧めです。
身体を休める
鎮静作用があり、ゆったりとした深い呼吸になる事で自律神経を休め、安眠に導いてくれます。血圧を整える作用もあるので、疲れた身体を癒す効果も期待できます。入浴剤として使えば、緑の森に抱かれるようなリラックスした時間が過ごせるでしょう。
住環境を整える
空気清浄の効果があります。杉には有機化合物のホルムアルデヒドや他の有害物質を、吸着する効果があることが分かっています。精油にも同様の効果が見込まれます。ディフューザーや冬の季節では加湿器などで室内に香りを広げてみてください。
お肌に対しての使用について
「スギ」精油は、基本的にスキンケアには利用しません。
「スギ」を使用する時の注意点
杉花粉症の方
花粉症を引き起こすのは雄花の花粉が原因ですので、精油には含まれていません。従って、基本的には芳香浴などでアレルギーを引き起こす事はありません。しかし、同じ樹木が材料となっているので、重篤な症状の方は使用に注意が必要です。
香りの差
前述しましたが、杉は日本各地で栽培されています。育成した環境によっては、木の質が変わってきます。木材としても色や硬さに差が出るように香りにも違いが出てきます。成分にはあまり違いがありませんが、産地や生産者を記憶しておく方がよいでしょう。
「スギ」のまとめ
世界にはヒマラヤスギやレバノンスギなど杉の名前が付いている樹木が数種類ありますが、それらはマツ科の樹木で、スギ科の樹木は杉の他にはありません。日本固有の樹木であり、縄文時代から木材として利用されていたことが分かっています。家を建てる建材として、桶や樽を作る材料として、大きなものから日常の道具までを杉で作ってきました。日本にとってなくてはならない樹木と言える杉の名前は、まっすぐに伸びる木からとっていると言う説があり、学名を和訳すれば日本の隠れた財産と言う意味があります。鹿児島県の屋久島にある縄文杉は、樹高25m以上、幹の周囲が15m以上もある巨木で樹齢は2,000年から7,000年と推測されています。他にも樹齢数千年の杉は日本の各地に多く存在しています。「スギ」精油は近年になって抽出されるようになりましたが、その香りは数千年の歴史があると言っても過言ではないでしょう。
コメント