原産地 台湾、日本
科名 クスノキ科
特徴 木本
抽出部位 枝葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 リナロール、1,8-シネオール、カンファー
「ホウショウ」のご紹介
ゴミだと思われていたものが実は宝物だったと言う、物語に出てきそうな場面のある木があります。100年くらい前まで「ホウショウ」は何の役にも立たないただの雑木でした。しかし、この木は素晴らしいものを内包していたのです。
「ホウショウ」は、どんな植物?
クスノキ科の樹木で、クスノキの亜種、若しくは変種といわれています。いくつかの学名がつけられていますが、確定していないようです。背の高い大きな樹木に育ちますが、全体的に華奢な感じがします。クスノキに比べて花や実が小さく、枝も細くなっています。見た目の最大の特徴は葉の縁が波うっている点です。耐寒性が低いので、温帯域でも比較的暖かい所で栽培されています。
「ホウショウ」の主な産地
台湾が原産地と言われています。中華人民共和国の南部にも自生しているとされていますが、植栽であると言う説もあります。日本には第二次世界大戦の頃に、台湾から種子が持ち帰られ栽培されるようになりました。当時は和歌山県、高知県、鹿児島県で香料を採るために栽培されていましたが、合成の香料が製造されるようになって栽培面積も減ってきました。現在でも国内で「ホウショウ」を育て、精油を抽出している場所がいくつかあります。
「ホウショウ」の香りと特徴
「ホウショウ」の精油は、葉や葉の付いたままの枝を乾燥した後に水蒸気蒸留法で抽出しています。クスノキには樟脳と呼ばれるカンファーが多く含まれていますが、「ホウショウ」には樟脳がほとんど含まれていません。代わりにリナロールと言うラベンダーやスズランなどの花に多く含まれる成分がたくさんあり、樹木の香りの中に花の香りを併せ持つ華やかな雰囲気のある香りがあります。花の香りを併せ持つために「芳樟」と言う漢字が充てられています。
「ホウショウ」の使い方の例
くつろぎのひと時を
現代は何かと忙しい毎日を送っている人が多く、身も心も疲れている人が多いのではないでしょうか。そんな時にお勧めなのが「ホウショウ」の香りです。花の香りを持つ精油は全体的にリラックス効果があり、「ホウショウ」にはその成分が多く含まれています。また、心のバランスを整えて、安定した気持ちにさせてくれるので、安眠の手助けにもなります。
疲れた身体を癒す
鎮痛や鎮静の作用があり、抗炎症作用もあります。肩こりや頭痛など、特に心因性の不調に効果が期待できます。また、体が疲れてしまうと免疫力も衰えがちになってしまいますが、「ホウショウ」には免疫力を高める作用もあります。トリートメントや入浴で活用して元気を取り戻してください。
お肌の不調に
抗菌作用や抗炎症作用があり、軽度の傷跡を修復する効果も見込まれます。湿疹やニキビ、吹き出物の手当に使ってみてください。「ホウショウ」に含まれるリナロールは化粧品にも多く使われています。お肌のコンディションを整える手伝いが出来るでしょう。また、消臭効果もあるので、髪のお手入れにも効果があります。フケの予防など、無香料のシャンプーに1,2滴混ぜて利用して下さい。
「ホウショウ」を使用する時の注意点
利用に際して注意が必要な方
「ホウショウ」はクスノキの変種とされています。クスノキにはカンファーと言う成分が多く含まれ、神経毒性があると言われています。「ホウショウ」にもわずかですがカンファーが含まれているので、妊娠中や授乳中のかた、乳幼児、てんかん症の方は使用しない方がよいでしょう。
抽出部位について
「ホウショウ」の精油は葉から抽出されるものと木部から抽出されるものがあります。葉から採り出される精油の成分はリナロールが多く、カンファーはわずかです。木部からの精油には比較的カンファーが多く含まれています。香りにも違いがあるので、購入する時には抽出部位を確かめてください。
皮膚刺激について
基本的には皮膚に刺激を与えないと言われています。しかし、木部からの精油と敏感肌の方は使用前にパッチテストを行って異常が出ないか確かめてください。
「ホウショウ」のまとめ
「ホウショウ」は樟脳の採れるクスノキの変種です。日清戦争の後に日本の統治を受けるようになった台湾で、樟脳を採るためにたくさん植えられていたのがクスノキでした。「ホウショウ」は見た目がクスノキによく似ていますが、樟脳がほとんど採れないので厄介者として「臭樟(しゅうしょう)」と呼ばれていました。統治後数十年経った頃に、「ホウショウ」からリナロールと言う高級な香料の原料が採れることがわかり、一気に重要な樹木となり、名称も「芳樟(ほうしょう)」と変えられました。現在は絶滅危惧種となったローズウッドに代わる樹木として、注目されるようになっています。
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