原産地 南アフリカ
科名 フクロソウ科
特徴 草本・多年草
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 ゲラニオール,シトロネロール、蟻酸シトロネリル、蟻酸ゲラニル、リナロール
「ゼラニウム」のご紹介
「ゼラニウム」は華やかではありませんが、可憐な花を咲かせ、何より良い香りのする植物です。栽培も比較的簡単で、園芸ショップなどでも色々な種類のものが売られています。精油が採取されるのは、「ローズゼラニウム」または、「匂い天竺葵」と呼ばれる高い香りのする品種です。
「ゼラニウム」は、どんな植物?
「ゼラニウム」は古くから栽培されている植物で、1年草もありますが多年草が多く、大きなギザギザの葉を持ち小さなランに似たピンクの花を咲かせます。
植物に使うのは少し変ですが、名称に関して波乱万丈の記録があります。「ゼラニウム」は、近隣種ではありますが違う種類の植物の名前にも使われています。18世紀に大まかな2つの種類に分けられ、ここでご紹介する「ゼラニウム」の本当の名前は「ペラルゴニウム」と言います。
実の形がコウノトリの嘴の形に似ていることから、ギリシャ語でコウノトリを意味するペラルゴの名前が使われました。しかし、長い間「ゼラニウム」の名前が使われていたことから一般的にはこの名称が使われています。
原種が約20種類あって、それを掛け合わせて作られた品種が1,000種類以上もある大家族な植物です。
「ゼラニウム」の主な産地
「ゼラニウム」は、南アフリカ共和国の首都ケープタウン近辺が原産と言われています。15世紀頃にヨーロッパに伝わりました。
良い香りのする植物で簡単に栽培できたことから、瞬く間に広まっていきました。
現在、「ゼラニウム」の精油はレユニオン島で多く産出されています。アフリカ大陸の東側にあるマダガスカル島の更に東のインド洋に浮かぶ島です。
神奈川県とほぼ同じくらいの広さの火山島で、島の中央部には3,000mを超す現在は活動していない火山がそびえています。
フランス領のこの島には様々な人種の人々が暮らしています。
主な産業は農業で、サトウキビが輸出の大部分をまかなっています。
他には、バニラなど、香料の原料になる作物や希少種のコーヒーが栽培されています。
「ゼラニウム」の香りと特徴
水蒸気蒸留によって葉から精油が抽出されていますが、精油にしなくてもちぎった葉だけでも香ります。
バラのような香りの中に薬草の様な少し青臭い香りが混じります。
この香りは虫よけにも効果があって、品種改良によってほぼ1年中咲く品種もあり、家庭の庭にもよく植えられています。
高い湿度を嫌う以外は栽培が簡単で、バラの香りに似ていたことから「貧乏人のバラ」とも呼ばれていました。
「ゼラニウム」の使い方の例
穏やかな気分に
不安や心配事を抱えて神経が過敏になっている時に、落ち着きをもたらせて安らげるようにしてくれる効果があります。
小さな布やコットンなどに精油を1滴たらして、身の回りを良い香りで包んでみて下さい。
お肌のお手入れ
皮脂のバランスを整えてくれる作用があり、様々な肌トラブルに対処できます。
手作りや無香料の化粧水に精油を1、2滴入れたっぷり使ってください。
脂性の肌にも乾燥肌にも使えます。
虫よけなど
「ゼラニウム」の香り成分の中には昆虫の嫌うものが含まれているので、虫よけにも使われます。
また、収れん作用があって止血することができますので、虫刺されや傷の応急手当にも使用できます。
「ゼラニウム」を使用する時の注意点
肌が非常に敏感な方
肌に良い効果がありますが、とても敏感な肌質の方は使用の前にパッチテストを行ってみて下さい。また、使用に際しては精油原液を使わないで薄めて使用してください。
ヒリヒリした痛みや、赤くなった場合は一旦使用を中止してください。
妊娠中や授乳中の方
ホルモンバランスに働きかける成分があるので、使わないほうがよいでしょう。
「ゼラニウム」のまとめ
原産地と言われている南アフリカでは、古くから下痢止めに使われてきた「ゼラニウム」です。
日本でも昔から下痢止めや胃腸の薬として使われてきた薬草の一つにゲンノショウコがありますが、「ゼラニウム」の近縁種です。
アフリカからヨーロッパに伝わった良い香りのする「ゼラニウム」は、たちまちヨーロッパの人々に気に入られました。中世ヨーロッパではこの香りが悪霊を払うとされ、魔除けとして玄関先に植えられていました。
気軽に栽培できて有用な「ゼラニウム」は今でも花壇をにぎわす花です。
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