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くすのき(Camphor tree)

原産地  東アジア
科名   クスノキ科
特徴   木本・高木
抽出部位 木
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   カンファー、サフロール、α‐テルピネオール、リモネン、1,8-シネオール、p-シメン

「クスノキ」のご紹介

 日本で樹齢数千年の木と言えば、屋久島にある縄文杉を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。しかし、縄文杉にも劣らない長寿の木がいくつかあります。日本にある樹齢が長く巨大な樹木の上位には「クスノキ」が数本挙げられています。

「クスノキ」は、どんな植物?

 「クスノキ」は、クスノキ科ニッケイ属の常緑樹です。光沢のある葉からも芳香があり、木全体に芳香成分が行き渡っています。その為、樹木に対する害虫も寄り付かない事から長寿になる木が多いようです。初夏に黄味のある白い小さな花が咲き、秋になると小さな実が付いて熟すと濃い紫色になります。実は鳥が食べ、それによって種が遠くに運ばれて行きます。こんもりとした形に育つ木なので、大きく育つと1本でも森の様な見かけになります。

「クスノキ」の主な産地

 東アジアの温かい地域が原産と言われていますが、確かな事は不明です。日本では東海地方より南に生息していて、九州や四国に多く自生しています。その中には巨木に育った木がいくつかあります。幹の周りが20m以上あり樹高が40~50mに及び、樹齢が数千年の国の天然記念物に指定されている木もあります。昔は神聖な木とされていたので、神社の御神木とされている木がたくさん存在しています。また、多くの自治体が県の木や市町村の木として「クスノキ」を指定しています。

「クスノキ」の香りと特徴

 「クスノキ」の木片を使い、窯で蒸して水蒸気を発生させ、それを水分と精油に分離させて抽出しています。更に冷却して結晶化した物を樟脳と言います。昔は衣装の防虫剤として使われていたことから、嫌な匂いのイメージが強いのですが、天然の樟脳の香りは樹木を思わせる清涼なスーっとした香りです。衣装の防虫剤には合成の薬剤が多く使われ、以前はツンとした匂いのするものが多く、混同される事が多々ありました。天然の樟脳を使った防虫剤は、衣服に2~3日風を通せば匂いは無くなります。

「クスノキ」の使い方の例

心のバランスを整える

 「クスノキ」の香りは静にも動にも有効です。興奮したり、パニックを起こしたりした時には落ち着きをもたらします。逆に自己否定したり、軽いうつ状態になったりした時には気持ちを奮い立たせてくれます。濃度に気を付けて芳香浴で精神面のケアを行ってください。

呼吸器や循環器のケアに

 樟脳は英語でカンファー、ドイツ語でカンフルと言います。強心剤として使われていた薬品です。風邪などで咳が出て喉が痛くなったり、鼻詰まりを起こしたりした時に胸部を優しくマッサージするように使ってみてください。血行を促進する作用もあるので、体を温める効果もあります。

お肌の不調に

 炎症を抑える効果や痒みを鎮める作用があります。虫刺されや湿疹など痒みを伴った炎症には軟膏を作って手当してください。皮脂の分泌を整える作用があり、脂性の肌の方のケアに有効と言われています。加えて抗菌作用もあるので、ニキビや吹き出物の手当や予防にも役立ちます。

防虫剤として

 樟脳は古くから衣料の防虫剤として使われてきました。衣類につく虫だけでなく、蚊などの不快な害虫も寄せ付けない効果があります。木材チップやコットンに精油をしみ込ませて防虫剤として利用して下さい。

「クスノキ」を使用する時の注意点

使用に関して注意すべき方

 「クスノキ」精油には、神経毒に似た作用が引き起こされる可能性のある成分が含まれています。その為、てんかん症の方は使用を控えてください。また、高血圧症や喘息など持病があり、日常的に投薬の必要のある方は医師や薬剤師に相談してから使用してください。妊娠中の方も使用は控えた方がよいでしょう。

強い精油です

 樟脳は古くから利用されてきましたが、内服は固く禁じられています。飲み込むと吐き気や頭痛などを引き起こし、神経や筋肉に障害が起こる可能性があります。長時間、高濃度で使用すると同じような症状を起こす事もあるので、使用頻度や濃度に気を付けてください。

学名について

 「クスノキ」精油は、日本産の場合は「クスノキ」精油、樟脳油などの名称が使われ、外国産の物はホワイトカンファーと表示されることがあります。学名は同じで、名称が違うだけです。しかし、全く違う植物の精油でも同じ学名が使われています。ホウショウとラビンツァラが「クスノキ」と同じ学名です。成分も香りも全く違うので購入する際には注意が必要です。

「クスノキ」のまとめ

「クスノキ」は、日本の漢字では「樟」または、「楠」と表されています。正確には「樟」の方ですが、一般的には「楠」が多く使われています。名前の由来は、木全体から匂いがすることから「臭し(くすし)木」または、薬草としても使われていたことから「薬の木」からきていると言われています。樹齢数千年の「クスノキ」が存在していることから分かるように、大変古くから日本に自生していました。防虫効果があり、芳香もあり、大きな木材が取れて加工も容易であったことから、飛鳥時代以前の仏像は「クスノキ」から掘り出されたものが多く残されています。悠久の時を経て現代にも残るそれらの像で「クスノキ」の偉大さを推し量ることができるのではないでしょうか。

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