原産地 地中海アルプスの山岳地帯
科名 シソ科
特徴 木本・低木
抽出部位 花(または花と茎葉)
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 酢酸リナリル、リナロール、ラバンジュロール、テルピネン‐4‐オール
「ラベンダー(真正ラベンダー)」のご紹介
北海道の大地を紫色に染めるラベンダー畑の写真を見たことのある人は多いのではないでしょうか。古くから化粧品などの香料として使われてきた香りは、アロマの世界では「迷ったら取りあえずラベンダー」と言われるくらい一般的で万能の精油です。
「ラベンダー」は、どんな植物?
シソ科のラヴァンドラ属の植物です。草花に見えますが植物学上は樹木に分類されています。大部分が多年草なので数年も経つと根本は木のようになり、成長しても2mを超えることはないので、低木の部類に入ります。少し厚みのある小さな葉を持ち、花芽が伸びて穂の様に紫の小さな花が咲きます。原種は約40種類あり、園芸用や香料を採るための品種改良や自然界での交雑で多くの亜種なども生まれています。「ラベンダー」の語源は「洗う」と言う古いフランス語に由来するとの説や、「青みを帯びた」と言う意味のラテン語に由来する説などがあります。
「ラベンダー」の主な産地
原産地は地中海沿岸と言われていて、古代エジプトやギリシャ、ローマなどで料理に使ったり、薬として使われたりしていました。本格的な栽培が始まったのは20世紀初めで、それまでは自生している野生種のラベンダーを刈り取っていました。フランス共和国の南東部に位置するプロヴァンス地方は、地中海に面しアルプス山脈の南麓にあたります。そこでは今でも野生のラベンダーがたくさん自生しています。ゴツゴツした岩山などに生えているので、全て手作業で三日月型の鎌を使って刈り取られます。標高が800mから1,000mくらいの場所で育つラベンダーは香りが高くなります。現在、この地では野生のラベンダーと共に大規模な栽培も行われています。毎年7月にはラベンダー祭りの開催される所もあり、多くのラベンダーファンが詰めかけています。
「ラベンダー」の香りと特徴
「ラベンダー」の匂いは、独特の甘みと薬草の様な香りが混じります。根元に近い所から一株ずつ刈り取る方法と、大規模な畑では農業機械で刈り取られていきます。それをしばらく乾燥させてから水蒸気蒸留によって精油が抽出されます。精油が一番多く流通しているのは、真正ラベンダーまたはイングリッシュ・ラベンダーと言われる種です。他にも精油を採りだす「ラベンダー」はいくつかの種類があり、それぞれに香りと成分が異なります。
「ラベンダー」の使い方の例
より良い睡眠の為に
ストレスを緩和して、不安感やイライラを取り除いてくれます。また、呼吸を深くすることもできますので、不眠やたびたび目が覚めてしまう方にはとても役立つ香りです。寝室にうっすら香る程度に使ってください。
痛みをとる
頭痛や肩こり、打撲、関節痛など様々な痛みを和らげてくれる効果があります。ローションなどを作って患部に塗る方法や入浴時にバスソルトなどで活用してみて下さい。心地よい香りは、痛みから来るふさいだ気持ちも和らげてくれます。
皮膚の手当に
軽い火傷や日焼けなどは手作りの軟膏やローションを塗って下さい。抗菌や抗炎症作用があり、細胞の成長を促進する効果もあるので、回復が早くなります。また、鎮痛作用もあり痛みを和らげてくれます。
「ラベンダー」を使用する時の注意点
濃度に気を付ける
心地よい睡眠を求めることができる「ラベンダー」ですが、濃度が高いと逆に目が冴えてしまって眠れなくなってしまいます。睡眠時にはほんのり香るくらいで使用してください。
品種の違い
「ラベンダー(真正ラベンダー)」には、基本的に使用を制限しないといけない方はありません。しかし、ラベンダーと名の付く精油にはいくつかの種類があり、中には特定の疾患がある方には禁忌となる場合があります。購入する際には、ラベルなどで種類を確かめてください。
「ラベンダー」のまとめ
「ラベンダー」には長い歴史がありますが、精油を抽出するための大規模な栽培が始まったのは20世紀に入ってからでした。まだ100年も経っていません。しかし、古来より料理や薬として使われていて記録は残っています。日本では、江戸時代の末期に西洋の薬をまとめた書物に書き記されていました。昭和の初めにフランスから輸入された種子を北海道で育てたのが本格的な栽培の始まりでした。香料を採るための栽培でしたので、人工的に作られた合成の香料が開発されたことで一時は栽培面積がとても少なくなりました。しかし、開花期の美しいラベンダー畑が観光資源となり再び脚光を浴びるようになりました。また、化学合成でない自然な香りを好む人も増えたので、精油の生産も上向きになっています。
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