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くろもじ(Kuromoji)

原産地  日本
科名   クスノキ科
特徴   木本
抽出部位 枝葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   リナロール、ゲラニオール、1,8-シネオール、カルボン、酢酸ゲラニル

「クロモジ」のご紹介

 日本の伝統的なお菓子である和菓子を食べる時に使う楊枝を黒文字と言います。芳香のある木から削り出された楊枝は、和菓子の上品さを損なうことなく、食べやすいようにと添えられている物です。もてなす心が作り出した黒文字は「クロモジ」の木で出来ています。

「クロモジ」は、どんな植物?

 「クロモジ」はクスノキ科クロモジ属の落葉樹で、樹高は2~3mの比較的低い樹木です。若い枝の樹皮は緑色をしていてスベスベした表面ですが、次第に黒っぽい色になり、斑点が生じます。それを文字に見立てたことから「クロモジ」と名付けられました。春浅い頃に半透明のような黄色の小さい花が10~15ほど固まって咲き、早春に咲くことから春を告げる木とも言われます。木陰でも明るい所であればよく育ち、雑木林を構成している樹木の一つとなっています。秋になると小さな黒い実が付き、葉は明るい黄色に黄葉します。

「クロモジ」の主な産地

 北海道を除く日本列島の各地に「クロモジ」は自生しています。日本列島は山が多く、古来より人々は山の恵みを享受してきました。その中でも、人々が住むそばの低い山を里山と言って、木材や燃料など様々に利用してきました。松を代表とする針葉樹や秋に美しく紅葉する落葉樹、下生えの草など多種多様な植物が人々だけでなく様々な動物も育んできました。その為、人々は山を大事にして手入れも怠らないようにしていました。近年では利用価値も下がり、手入れをする人が減ってきたことから、荒れた山が増えています。

「クロモジ」の香りと特徴

 葉や枝を水蒸気蒸留法で精油を採り出しています。精油は特に樹皮に多く含まれています。スッキリとした樹木の香りの中に柔らかさを兼ね備えている上品な香りです。以前は香料として石鹸や化粧品に使われ、輸出も行われていました。精油の抽出量はとても少なく、原料の葉や枝約1㎏からおよそ1㎖~3㎖しか採れません。しかし、精油を採り出す段階で芳香蒸留水と言う、芳香浴や入浴剤などにそのままで使える副産物が採れます。

「クロモジ」の使い方の例

心の調和に

 心配性な方やわけも無く不安に駆られる方は、「クロモジ」の香りを身の回りに漂わせてみてください。気持ちを落ち着けて安心感が得られます。また、疲れてしまって気持ちに余裕のない時にも効果が期待できます。「クロモジ」の香りでリフレッシュして次に進んでください。

風邪の季節に活躍

 痰を切る作用や咳を鎮める効果があります。風邪などで喉が痛くなった時に蒸気吸入や軟膏を作って胸やのどに塗って手当をして下さい。また、抗菌や殺菌作用もあるので風邪やインフルエンザの予防にも役立ちます。ディフューザーなどで玄関先に香りを広げてみてください。

お肌を健やかに

 保湿効果があり、疲れた肌や老化肌に潤いをもたらし、ツヤとハリのあるお肌にしてくれます。荒れた手や踵のケアには、クリームに「クロモジ」精油を入れて使ってみてください。傷を癒す効果もあるので、虫刺されや小さなケガの手当にも使えます。

「クロモジ」を使用する時の注意点

敏感肌の方

 皮膚に対して良い効果がある「クロモジ」精油ですが、お肌の弱い方は使い始める前にパッチテストで異常がないか確かめてから利用するようにしてください。

妊娠中の方

 妊娠中は健康であっても身体が敏感になっています。妊娠初期の利用は避けて、中期以降は医師や助産師に相談してから使用してください。乳幼児に対しての使用も控えた方がよいでしょう。

「クロモジ」のまとめ

 茶道の祖と言われる千利休が豊臣秀吉をもてなすためにお茶を入れ、和菓子を供した時に食べやすいようにと、庭の「クロモジ」の枝を切って削りお菓子に添えたと言う逸話が残っています。「クロモジ」は様々な使い方をされています。袖垣と言う、玄関脇などに取り付けられる小さな垣根を「クロモジ」の枝で作るクロモジ垣は風流な趣があります。また、根を乾燥させたものを「釣樟(ちょうしょう)」、小枝を乾燥させたものを「烏樟(うしょう)」と言い、生薬として薬用酒などに使われています。葉を使ったクロモジ茶もあり、お腹の調子が悪い時に飲むと良いとされています。このように色々な使い方のある「クロモジ」は、里山の宝の一つなのではないでしょうか。

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