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アンジェリカ(Angelica)

原産地  ヨーロッパ
科名   せり科
特徴   草本
抽出部位 根
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   α‐ピネン、δ‐3カレン、β‐フェランドレン、1,8-シネオール

「アンジェリカ」のご紹介

 天使のハーブと呼ばれる植物があります。中世ヨーロッパで流行病が猛威を振るっていた時に、修行僧が見た夢で天使に教えられた疫病を防ぐ力のある薬草が「アンジェリカ」であったと言う伝説があることから、そう呼ばれるようになりました。「精霊の宿る根」とも言われ、悪魔を寄せ付けず、病気を治すと信じられていました。

「アンジェリカ」は、どんな植物?

 セリ科の2年草(開花までにかかる時間)で、冷涼な山地や湿原を好む植物です。草丈は1,5~2mになり、大天使ミカエルの日である5月8日に花が咲くと言われている通り、初夏に黄緑色の小さな花が花火の様な形で固まって咲きます。ヨーロッパでは薬草として古くから利用されています。葉はハーブティーに、茎は砂糖漬けにしてケーキやクッキーの飾りに使われています。また、種子はリキュールなどのお酒の香り付けとして使用されています。トウキの仲間には多くの種類があり、日本では「アンジェリカ」をセイヨウトウキ(西洋当帰)と呼んでいます。東洋ではトウキのいくつかの種類は生薬として、漢方薬の材料に使われています。

「アンジェリカ」の主な産地

 ヨーロッパの屋根のような存在のアルプスや、ユーラシア大陸の西の端の山脈ピレネーなどの冷涼な山岳地帯が原産とされています。ヨーロッパの各地やロシアの中央から西側で栽培されていますが、北欧からヴァイキングがヨーロッパ各地に広めたと言われています。北欧では寒さに強い「アンジェリカ」は、野菜の少ない時期にも育つ貴重な植物として重宝されてきました。現在、精油の産地としては、フランスやベルギーでの栽培が盛んです。

「アンジェリカ」の香りと特徴

 「アンジェリカ」精油には2種類あります。いずれも水蒸気蒸留法で精油を抽出して、香りには若干の違いがありますが、効能はほとんど変わりません。「アンジェリカ」の精油は大部分が根に含まれています。根から採れる精油は「アンジェリカ・ルート」と言って、甘さを含んだピリッとしたスパイシーな香りにちょっと埃っぽい感じが混じります。種子からも精油が採れます。「アンジェリカ・シード」と言う名で、ルートの香りを優しくして野草の匂いを足したような香りです。

「アンジェリカ」の使い方の例

自分自身を取り戻す

 「アンジェリカ・ルート」の香りは、ムスクの香りに似ていると表される事が多いように大地に根差した感じの香りです。色々な事が身の回りで起こって落ち着かない時や、軽いパニック状態に陥りそうな時に使ってみてください。気持ちが落ち着いて心を安らかにしてくれます。また、寝室に優しく香らせれば安眠をもたらす手伝いをしてくれるでしょう。

呼吸器のケア

 疫病を予防するために使われた薬草でもある「アンジェリカ」には抗ウイルス作用があります。風邪の予防や、痰がからんだり、咳が出たりする呼吸器の不調に効果があります。カップにお湯を張り、精油を1滴たらして立ち上る蒸気をゆっくりと吸い込んでみてください。

女性ホルモンのバランス

 女性ホルモンの調整に役立つ精油です。更年期障害からくる冷えやのぼせ、月経の不調による痛みや腰のハリに効果があります。入浴の時やマッサージに利用してください。

「アンジェリカ」を使用する時の注意点

光毒性があります

 柑橘系の精油に光毒性があることは有名ですが、「アンジェリカ」にも光毒性があります。マッサージや入浴などで、「アンジェリカ」の精油が肌についたまま紫外線に当たると皮膚が赤くなることがあります。敏感肌の方ですと炎症を起こす可能性もあります。肌に当たるような使用をした時には外出を控えてください。就寝前などに利用されるのがよいでしょう。

女性ホルモン

 女性ホルモンに影響を与える精油です。良い事もたくさんありますが、妊娠中の方は使用を控えてください。授乳中の方も使わないほうがよいでしょう。

香りが強い

 他の精油の保留材にも使われる精油です。香りが濃く、長時間にわたって香りが続きます。1滴にも満たない量でも芳香浴に使えるくらいには香ります。ブレンドされる場合にはわずかな量から試してください。また、乳幼児やペットのいる空間では使用を控えた方がよいでしょう。

「アンジェリカ」のまとめ

 お菓子の飾りに使われる「アンジェリカ」は日本では見た目が似ているので、蕗を使っています。名称や製造方法、利用法は同じですが、香りが全く違います。セイヨウトウキと同じ属の植物は日本にもあり、食用にもされています。明日葉(アシタバ)と言って、セイヨウトウキと同じく強い香りのある山菜です。このようにセイヨウトウキから見ると、利用方法は同じでも違う植物であったり、遠く離れた地に近縁種の植物が育成していたりと興味深い事柄があります。「アンジェリカ」の香りにも、似ているけれどまったく違う植物の精油があり、植物界の大きさを感じる事ができます。

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