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ベンゾイン(Benzoin)

原産地  ジャワ・スマトラ
科名   エゴノキ科
特徴   木本
抽出部位 樹脂
抽出方法 水蒸気蒸留法、有機溶剤法
成分   安息香酸エステル(ジャム)、桂皮酸エステル(スマトラ)、バニリン

「ベンゾイン」のご紹介

 樹木からにじみ出る樹液には様々な使い道があります。漆器に使われる漆や、サトウカエデから採れるメープルシロップが樹液です。樹液の揮発成分が無くなって固体化したものを樹脂と言います。滑り止めに使われる松脂や、フランキンセンスと呼ばれる乳香などが樹脂です。樹脂の化石が琥珀です。樹脂から採れる精油の一つに「ベンゾイン」があります。

「ベンゾイン」は、どんな植物?

 エゴノキ科の樹木で安息香木(アンソクコウノキ)など、数種類の樹木から「ベンゾイン」が採れます。エゴノキ科の樹木は百種以上の種類があり、日本にも数種が自生しています。下に向かって咲く白く小さい花が特徴的で良い香りが漂うことから庭木として人気があります。樹高は10m以上にもなり、苗木から7~8年経てば樹液を採取できるようになります。幹に傷をつけると樹液がにじみ出て、空気に触れると白濁した塊になります。この白い塊が安息香で、英語では「ベンゾイン」と言います。

「ベンゾイン」の主な産地

 「ベンゾイン」は、主にベンガル湾の東側に位置するインドシナ半島やインドネシアのスマトラ島などで生産しています。この地域の歴史は非常に古く、数万年前の人々が暮らしていた痕跡が数多く発見されています。数千年前から作物を育てて暮らしていた証拠となる遺跡もあり、この地域の人々が古来より農耕民族であったことが伺えます。現在も農業が盛んで、高温の気候を利用した世界でも有数の農業地帯となっています。

「ベンゾイン」の香りと特徴

 「ベンゾイン」は、樹脂を揮発性有機溶剤抽出法で精油を採り出しています。基本的にはバニラに似たお菓子の様な甘い匂いですが、香りの違う二つの精油があり、産地と樹木の種類によって区別されています。「シャムベイゾン」はシャム(タイ王国の昔の名前)が示す通りインドシナ半島で採れる「ベンゾイン」精油で、芳香成分の内、安息香酸が大部分を占めています。濃厚な甘い香りがします。もう一つは、「スマトラベイゾン」と言ってインドネシア共和国のスマトラ島で生産されています。桂皮酸と言う成分が多く含まれ、甘さの中にシナモンの様なスパイシーな香りが混じります。

「ベンゾイン」の使い方の例

気づかない内に疲れている心に

 自覚しなくても精神的に疲れが溜まっていることがあります。また、原因が分からないままにイライラしてしまうこともあります。そんな時に「ベンゾイン」の香りを身近に香らせてみてください。甘いお菓子の様な香りが心を安定させて穏やかな気持ちにさせてくれます。

呼吸器のケア

 安息香の名前が示す通り、息(呼吸)が辛い時に楽に(安らか)にしてくれます。気管支炎や咳、喘息のケアに有効な成分が含まれています。鎮静作用や去痰作用があるので、カップにお湯を入れて「ベンゾイン」を1滴たらし、立ち上がる湯気をゆっくりと吸い込んでみてください。

乾燥肌の手当に

 乾燥による肌の荒れや痒みに効果があります。手のあかぎれや、足の踵がひび割れて痛痒い時などに、無香料のクリームや手作りのローションなどで使ってみてください。

「ベンゾイン」を使用する時の注意点

香りについて

 「ベンゾイン」は、基本的に強い香りの精油です。濃厚な甘い香りは濃度が高いと気持ち悪くなる場合があります。低濃度から試してください。さらに、産地によって違う大まかに2種類の香りがあります。好みの香りの産地を覚えておいてください。ケモタイプではないので、効能に違いはありません。

粘度が高い

 非常に粘性が強く、容器をさかさまにしてもなかなか落ちてこない時もあります。あらかじめ、希釈した物を利用するのが良いようです。

温度管理

 「ベンゾイン」の原液は、低温状態で固まって固形状になってしまうことがあります。冷蔵庫などで保管しないでください。また、気温が低くて固まってしまった場合は湯せんで柔らかくなります。

「ベンゾイン」のまとめ

 「ベンゾイン」は、安息香とも呼ばれ、主な成分は安息香酸と言います。安息香酸には静菌作用と言って、細菌の増殖を妨げ、結果的に細菌を減らす効果があります。その作用を利用して食品の保存料や防腐剤に使われています。また、粘度が高いので揮発性が低く、その性質を利用して他の精油の香りを長引かせるための保留材としても使われています。樹脂から採れる精油は種類が少ないのですが、「ベンゾイン」の香りの甘さは樹木から採れたとは思えない匂いで、さらに珍しい種類です。様々な効能と性質によって「ベンゾイン」は貴重な精油と言えるのではないでしょうが。

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