産地 地中海沿岸
科名 キク科
特徴 草本・一年草
抽出部位 花
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 カマズレン、ビサボロール誘導体(ビサボロールオキサイド)、ビサボレン誘導体
「ジャーマンカモミール」のご紹介
カミツレと言う名を聞いたことがあるでしょうか。カモミールが日本に紹介された時に、その時代の人がオランダ語のカミルレを「加蜜列」と表記したことが始まりだったと言われています。いくつかの種類があるカモミールの中からハーブティーでお馴染みの「ジャーマンカモミール」をご紹介します。
「ジャーマンカモミール」は、どんな植物?
キク科の1年草で草丈は50㎝ほどに成長します。春先から初夏にかけた長い間花が咲き続けます。花は2㎝くらいの小型で、中心が黄色く白い花びらがあり、成熟すると黄色い部分が盛り上がってくるのが特徴的です。花にはリンゴに似た香りがあります。暑さには若干弱く夏の直射日光には当てないほうがよいようですが、寒さには強く秋に撒いた種は冬越しをした後に芽吹きます。一度植えるとこぼれ落ちた種でどんどん増える丈夫な草花です。花の中心部が盛り上がり、花びらが反り返ってきたら収穫できるタイミングです。
「ジャーマンカモミール」の主な産地
地中海沿岸のヨーロッパ各地や北アフリカ、中央アジアなどの温帯域の広い範囲で自生しています。ヨーロッパでは古くから薬草として知られていて、特にハーブティーの形で摂取されています。ドイツでは薬用植物の評価委員会(コミッションE)に於いて、「ジャーマンカモミール」は治療の目的で使用する事が認められています。日本には江戸時代の末期にオランダから種が持ち込まれ、鳥取県や岡山県で栽培が始められました。
「ジャーマンカモミール」の香りと特徴
「ジャーマンカモミール」は花を少し乾かしてから水蒸気蒸留で精油を採り出しています。精油の香りはとても強く、薬草のような匂いだったり枯草の様な匂いだったりします。薄めることによってリンゴのような爽やかでフルーティな香りになります。花は触るだけでも良い香りが立ち上りますが、葉や茎には香りがありません。精油を採り出す段階での熱の作用でアズレンと言う成分が作られ、これによって精油の色が濃い青色になります。「アズレン・ブルー」と呼ばれる珍しい色は新鮮な精油の証です。
「ジャーマンカモミール」の使い方の例
胃腸の調子を整える
カモミールティーは古くからヨーロッパの各地でお腹の薬として使われてきました。粘膜の保護や消化促進の効果があり、下痢や胃痛の緩和に役立ちます。
お肌のケアに
精油には蒸留の過程で発生する成分があり、アレルギーや炎症を抑える効果があります。肌荒れや湿疹、それらから起こる痒みなど、皮膚に起こる様々な不快を取り除いてくれます。洗面器にお湯を張り精油を1,2滴入れて立ち上る湯気を顔に当てます。ローションを手作りして利用するのもよいでしょう。また、「ジャーマンカモミール」には精油を採り出す時に副産物として芳香蒸留水ができます。これにもスキンケアに良い成分が含まれていて、赤ちゃんにも使えます。
緊張を解きほぐす
「ジャーマンカモミール」の香りはリラックス効果があります。疲れた気持ちを穏やかにし、不安感や緊張を取り除いてくれます。ぐっすりと眠れるよう、やんわりと香るくらいにアロマディフューザーやアロマランプで香りを広げてください。
「ジャーマンカモミール」を使用する時の注意点
アレルゲンです
「ジャーマンカモミール」はキク科の植物です。そして、精油はその植物を凝縮したものです。ひどい時にはアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるので、キク科の植物にアレルギーのある方は絶対に使用しないでください。
複数の種類があります
カモミールにはいくつかの種類があります。有名なものでは「ジャーマンカモミール」以外にも「ローマンカモミール」などがありますが、成分が違います。また、「ジャーマンカモミール」は精油の採れる量が少ないので高価になっているため、混ぜ物をしたり薄めたりされることがあります。ラベルで学名などを確認して信頼のおけるショップで購入する事をお勧めします。
香りが濃い
「ジャーマンカモミール」の収量は少ないのですが、とても香りが強いです。原液のままだと薬草臭さもあります。薄めることによって心地よい香りになりますので、少量を薄めて使ってください。他の精油とブレンドする際もわずかな量から試すのがよいでしょう。
「ジャーマンカモミール」のまとめ
ハーブティーとして有名なカモミールティーは、「ジャーマンカモミール」を使ったものが基本と言って差し支えないでしょう。色々なカモミールがありますが、「ジャーマンカモミール」は苦味も無くフルーティな香りがあり、とても飲みやすいお茶です。精油と違い、自宅で栽培して花を乾燥させれば手作りのハーブティーを入れる事ができます。お腹の調子を整えたり、就寝前に飲むと心地よい眠りに入れたりと、精油と同じような効果も得る事ができます。夏の直射日光と暑さ対策だけ気を付ければ、プランターなどでも簡単に栽培できます。「ジャーマンカモミール」のヒナギクの様な可愛い花を観賞することもできて、一石二鳥にも三鳥にもなるのではないでしょうか。
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