原産地 ヒマラヤ・インド
科名 ミカン科
特徴 木本・高木
抽出部位 花
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 リナロール、リモネン、酢酸リナリル、ネロール、ゲラニオール、ネロリドール、アンスラニル酸メチル
「ネロリ」のご紹介
アロマテラピーで使われる精油は様々な植物から抽出されています。この精油は香水の原料にも使われています。中世ヨーロッパの貴族や特に貴婦人たちは、競って特徴のある香りを探していたと言われています。「ネロリ」は、イタリアに実在した貴婦人に由来しています。
「ネロリ」は、どんな植物?
柑橘類は大きく二つに分けられています。一つは、デザートなどでよく食べられる酸味と甘みのあるスイート系です。もう一つは、ビター系と言って、酸味が強く苦味もあるのでそのまま食べるのには向きません。「ネロリ」はビターオレンジの花から採れる精油です。
ビターオレンジは、主に風味付けや薬草の一つとして使われていて、日本ではダイダイや柚などの種類の果実です。初夏に白い花が咲き晩秋から冬にかけて黄色く熟します。木には棘があり、葉は特徴的な形をしています。
「ネロリ」の主な産地
ビターオレンジの原産地は、ヒマラヤ山脈の麓あたりの地域と言われています。西はヨーロッパに広まり、東は中国から日本に伝わってきました。現在は世界中の温暖な地域で栽培されています。「ネロリ」の元となったイタリアをはじめ、地中海沿岸では生産が盛んで、品質も良い物が作られています。
「ネロリ」の香りと特徴
初夏になると木いっぱいに白い花が咲き、極度に強い香りではありませんが、あたり一面に清々しく甘みのある匂いが漂います。「ネロリ」は花の甘やかな香りと、果物の爽やかな香りが入り混じった万人に好まれる部類の精油です。
17世紀のヨーロッパでは、貴婦人に流行したファッションの中に革製の手袋がありました。しかし、なめし革の手袋はちょっといやな匂いがしていました。それを何とかしようと、現在のイタリア中央部にあるネローラと言う街の公爵夫人が、自身の城の周りに生えていたビターオレンジの花を使って手袋の匂いを覆い隠すことを思いつきました。
以来、彼女の付けていた手袋は「ネロリの手袋」としてもてはやされるようになり、ビターオレンジの花の精油は「ネロリ」と呼ばれるようになりました。また、フランスの香水の町として有名なグラースで最初に香料として使われたのも「ネロリ」でした。
「ネロリ」の使い方の例
気持ちを整理する
「ネロリ」には気持ちを明るくさせる効果が望めます。様々な心配事や不安感、悲壮感などを和らげ、前向きな気持ちを引き出してくれます。また、ストレスでイライラしている時などは落ち着きを取り戻すこともできます。
アロマランプなどで、身の回りに「ネロリ」の香りを漂わせてみてください。
神経性の不調に
よく「病は気から」と言われますが、昨今はストレスからくる体の不調を抱えた人が増えています。特にお腹の調子が悪くなることが多いようです。
また、持病があるわけでもない人が急に動悸をおぼえる事もあるようです。
「ネロリ」の精油を使ったお風呂でゆっくりした時間を取って、元気になってください。
スキンケアに
特別に敏感な肌質でない限り、脂性や乾燥など、どんな肌にも使えます。
老化によるシミやしわの予防、くすみにも良い効果が認められます。
手作りの化粧水やクリームでお肌のお手入れを行ってください。
「ネロリ」を使用する時の注意点
香りが強い
良い香りでも度を過ぎれば悪臭になります。
「ネロリ」は香りが強いので、少量または、薄めて使うことをお勧めします。
妊娠中の使用
妊娠中は基本的にアロマを使わないほうがよいのですが、妊娠後期に腹部に現れる妊娠線の予防に「ネロリ」が使われることがあります。
しかし、中途半端な知識では使用しないで、専門知識を持った人のアドバイスに従って利用してください。
集中したい時
車の運転や仕事中など神経を集中したい時には使用を控えてください。
「ネロリ」はリラックスして気持ちを和らげますので、逆効果になってしまいます。
「ネロリ」は高価な精油です
花は手作業で丁寧に摘まれ、その花の重さ約1kgから精油はたったの1gしか採れません。
従って残念なことに紛い物も流通しています。信頼できるところで購入してください。
「ネロリ」のまとめ
「ネロリ」はたくさんの花からわずかしか精油が採れませんが、副産物があります。
水蒸気蒸留によって精油が抽出され、冷えた水蒸気にはオレンジの香りと薬用成分が含まれた「オレンジフラワー水」になります。
ケーキの香り付けやお酒の風味付け、化粧品にも使われます。
伝統的に「オレンジフラワー水」を使っている北アフリカや中東の国々では、腹痛の薬として乳幼児にも使われています。
洋の東西を問わず、柑橘類の果実や花は太古の昔より人々の生活を豊かにしているのではないでしょうか。
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