原産地 ブラジル・ベネズエラ
科名 マメ科
特徴 木本
抽出部位 樹脂
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 β‐カリオフィレン、α‐フムレン、α‐コパエン
「コパイバ」のご紹介
世界で一番長く、最大の流域を持つアマゾン川の流れる熱帯雨林は生物の宝庫です。数億年前に形成されるたこの地域には、実に多くの動物や植物が生育しています。その中には危険な動植物もありますが、大変有用な植物もあります。「コパイバ」もそのひとつです。
「コパイバ」は、どんな植物?
「コパイバ」精油の原料を採り出すのは、マメ科のコパイフェラ属の樹木です。コパイフェラ属には50種弱の樹木があり、その内約10種から精油の元となる樹液を採り出しています。樹液を採る木は、一まとめにコパイババルサムノキと呼ばれています。熱帯雨林に自生していて、樹高は20~40mにも及び、幹の直径は大きいもので1mほどになります。枝が多く滑らかな樹皮をしていて、高い所に小さな白い花が咲きますが、種類によっては薄い紫色の花を咲かせます。マメ科の樹木らしく莢に入った脂肪分の多い実が生り、動物たちの良い栄養源になっています。
「コパイバ」の主な産地
「コパイバ」精油が採れる木は、アマゾン川流域の熱帯雨林に自生している樹木です。アマゾン川流域は非常に広く、オーストラリア大陸とほぼ同じ面積を擁しています。流域のほとんどがブラジル連邦共和国ですが、ペルー共和国など5か国にわたっています。アマゾン川の水深は深く、河口から数千km上流でも数十mの深さがあります。しかし、流域の標高は低く、河口から3,000km以上上流でも標高が80mくらいしかありません。非常に広く平らな湿原地帯が豊かな植生を持った広大な熱帯雨林を形成しています。
「コパイバ」の香りと特徴
「コパイバ」はあ優しい甘さのある樹木の香りです。コパイババルサムノキから樹液を抽出した後にしばらく空気にさらすと、次第に粘性が出て固まってきます。これを樹脂と言い、樹脂から水蒸気蒸留法で精油を採り出します。1年に1度樹皮に穴を開け、出てくる樹液を採取しますが、木の大きさによって採取できる量が大きく変わります。小さい木だと1ℓに満たない量ですが、樹齢が100年近い巨木になると60ℓ以上も採取できる木があります。雨季より採取量が増えるので、比較的乾燥している7月から11月の間に手作業によって採取しています。
「コパイバ」の使い方の例
気持ちの切り替えに
作業する時や会議など集中したい時に使える香りです。やる気を起こさせて目の前の仕事を片付ける手助けをしてくれます。また、ストレスの軽減にも役立ちます。気分を変えてリフレッシュすることができるでしょう。
呼吸器のケアに
抗炎症作用や去痰作用があるので、気管支炎や喘息の手当に効果が見込まれます。また、殺菌の成分もあるので、風邪やインフルエンザの予防にも役立ちます。カップにお湯を入れ、「コパイバ」精油を1~2滴入れて立ち上る蒸気をゆっくりと吸い込む蒸気吸入などで試してください。
お肌のお手入れに
「コパイバ」精油は太古の昔からケガの治療などにも使われていました。最近の研究では皮膚に対する柔軟作用や保護作用が認められ、あらゆるお肌のケアに有効であることが分かってきました。手作りのクリームや化粧水でお手入れをしてみてください。
より良い住環境に
「コパイバ」精油には優れた防虫効果があります。身の回りの不快な害虫を、香りで寄せ付けないことができます。天然の素材なので、環境にも優しい防虫剤が作れます。スプレーや虫が入りそうな所に塗布するとよいでしょう。
「コパイバ」を使用する時の注意点
皮膚刺激があります
肌に良い成分が含まれていますが、稀に皮膚刺激を起こすことがあります。敏感肌の方やアレルギー体質の方はパッチテストを行ったうえで使用してください。
使用時間など
長時間、高濃度で使用すると、吐き気をおぼえたり下痢をおこしたりする可能性があります。適正な使用頻度と濃度を守ってください。
妊娠中の方
収れん作用があるので妊娠中の方は利用を控えてください。また、授乳中の方も使用しないほうがよいでしょう。
「コパイバ」のまとめ
アマゾンの熱帯雨林を作り出している平野は、数億年前にはすでに形成されていたと言われています。それ以来、多種多様な動物や昆虫、植物を育んできました。「コパイバ」精油は、ヨーロッパから人々が押し寄せてくる前から原住の人々の生活に役立ってきた天然の薬です。その為、「天然の秘薬」や「アマゾンの秘宝」とも呼ばれています。自生のコパイババルサムノキは分布が非常に少なく、10ヘクタール(東京ドームおよそ2個分の広さ)に2~3本しか生えていません。現在は栽培もされているようですが、まだまだ自生の木に頼っているのが実情です。アマゾンの恵みともいえる「コパイバ」精油をこれからも作り出すためには、コパイババルサムノキの成長を妨げないよう自然環境の保全が大事と言えるでしょう。
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