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ローズマリー(Rosemary)

原産地  地中海沿岸
科名   シソ科
特徴   木本・低木
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   1,8-シネオール、α‐ピネン、カンファー、ボルネオール、酢酸ボルニル、カンフェン

 

「ローズマリー」のご紹介

 「海のしずく」と言う意味の名を持つ薬草があります。「ローズマリー」は海岸沿いでも育ち、小さな薄い青の花を咲かせます。その姿が、海の波しぶきの様に見えたことから名づけられたようです。古来より記憶の薬として珍重されてきたハーブの一つです。

「ローズマリー」は、どんな植物?

 シソ科の大きくなっても2mに満たない低木に分類される植物です。常緑で針葉樹の葉の様な細く少し厚みのある葉がたくさん枝に生えています。基本的には、冬季に葉の間から小さなランに似た薄紫や薄い青の花が咲きます。乾燥した土地を好み、暑さにはとても強く、低温にはあまり強くありませんが、少しの霜程度なら大丈夫です。古代ローマの時代では、記憶のハーブとして「ローズマリー」の花冠を頭に載せて学習していたと言う言い伝えがあります。また、中世ヨーロッパの王妃が高齢になり手足の痛みを緩和するために「ローズマリー」を使ったところ、痛みをとるだけでなく若返りの効果もあったと言われています。

「ローズマリー」の主な産地

「ローズマリー」は地中海沿岸が原産地と言われています。紀元前から地中海沿岸は元よりヨーロッパのほぼ全域を領土とした古代ローマ帝国の学者をはじめ、中世ヨーロッパの錬金術師も薬草としての効能を絶賛した植物です。後述しますが、「ローズマリー」には色々な種類があります。代表的な3つの種類の主な産地は、「ローズマリー・シネオール」は北アフリカのチュニジアやモロッコです。「ローズマリー・カンファー」は地中海沿岸の西に位置するフランスやスペインで生産されます。「ローズマリー・ベルベノン」はイタリア半島の西側に浮かぶコルシカ島が主産地で、南アフリカ共和国でも作られています。

「ローズマリー」の香りと特徴

「ローズマリー」には、ケモタイプと言って育った土地の土壌や気候などの環境によって異なった成分の精油が採れます。大きく分けて3種類のタイプがあり、一番ポピュラーなのは「ローズマリー・シネオール」で、1.8-シネオールと言う成分が多く含まれています。これはユーカリに多く、爽やかでフレッシュな香りがします。「ローズマリー・カンファー」はカンファーが多く含まれています。カンファーとは強心剤のカンフルと同じ成分で、衣服の防虫剤として使われている樟脳と同一のものです。強い木のような鮮明な香りがします。「ローズマリー・ベルベノン」は、柑橘類に含まれるテルペンの一種であるベルベノンが多く含まれています。カンファーの含有率が少ないので、他に比べて柔らかい香りがします。いずれも、花が付いたままの枝を葉と一緒に水蒸気蒸留によって精油を抽出しています。

「ローズマリー」の使い方の例

「ローズマリー・シネオール」

 一般的な「ローズマリー」の精油で、呼吸器の不調に効果があります。気管支の炎症を抑え痰の排出を助けます。また、鼻づまりなどにも有効です。作用が比較的おだやかなので、少量なら子供にも使えます。蒸気吸入やうがいなどで活用してみてください。

「ローズマリー・カンファー」

 強心剤に使われるものと同じ成分があるので、心臓の拍動を高め、血の流れを良くする効果が望めます。従って、肩こりや筋肉痛、関節痛など血流が良くなることで症状が緩和されます。入浴の時などに使ってみてください。

「ローズマリー・ベルベノン」

 「ローズマリー」の中では香りが優しいので、芳香浴に使ってみてください。心と体の底上げをしてくれる香りです。イライラや不安感があり、やる気が起きない時などに効果を発揮します。また、生活習慣病の様々な症状の予防効果も期待できます。

「ローズマリー」を使用する時の注意点

皮膚刺激があります

 スキンケアにも有用な成分が含まれていますが、高濃度で使うと赤くなったり痛みがあったり肌に刺激を与えてしまいます。原液は使わず薄めて使ってください。肌の弱い人はパッチテストを行ってから使用するのが良いでしょう。

強い精油です

 様々な良い効能のある精油ですが、作用が強く働くので高濃度で使うと逆効果になってしまうことがあります。わずかな量でも十分な効果が望めるので、薄い濃度から使用してみて下さい。

使用しない方がよい方

 妊娠中や授乳中の方、乳幼児には刺激が強いので使わないほうがよいでしょう。高血圧症やてんかん症の方は、「ローズマリー」に含まれるケトン類と言う神経毒に近い成分が含まれているため症状が悪化する可能性があります。使用しないでください。特に「ローズマリー・カンファー」には多く含まれています。

「ローズマリー」のまとめ

 「ローズマリー」は、古来より万能の薬として使われていました。また、抗菌や抗酸化作用があり、消臭効果もあったので肉の鮮度を保ち匂い消しにも使われてきたハーブです。最近の研究ではがん予防にもよいとされる食物の一つに挙げられています。さらに、脳の活性化が期待できる成分があることがわかり、認知症の予防や、症状の改善に役立つことが報告されています。これからの社会生活において様々な良い効能のある「ローズマリー」ですが、精油はその成分を凝縮した物です。良い効果がある反面、使いすぎると毒にもなります。適正な使用で「ローズマリー」を役立ててください。

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