「マンダリン」のご紹介
日本の冬の風物詩としてよく表される物の中に「コタツにミカン」と言う言葉があります。このミカンとは手で簡単に皮をむくことのできる温州ミカンの事を指していますが、温州ミカンはマンダリンオレンジを品種改良したものです。「マンダリン」はミカンの香りの精油です。
「マンダリン」は、どんな植物?
「マンダリン」はミカン科ミカン属の常緑で比較的低い樹木です。ミカン科には約150の属があり、900種以上の品種があります。中には香辛料として使われる種があり、山椒やカレーノキと呼ばれる葉にスパイシーな香りがある木もミカン科の樹木です。果樹として食用にするために栽培されるものも多く、「マンダリン」は原種に近い果物です。一番の特徴は、ナイフなどの道具を使わなくても手で簡単に皮を剥くことができる事です。爽やかな酸味と甘さを持つ「マンダリン」は手軽に食べる事の出来る果物の一つです。
「マンダリン」の主な産地
柑橘類は多くの種類があり、インドの北東部、ヒマラヤ山脈の南に位置するアッサム地方と言われています。「マンダリン」に関しては中国が原産と言われ、アッサム地方に近い中国南部の高地に原種であろうとされる野生の「マンダリン」が自生しています。「マンダリン」の名前の由来は、中国の官僚が制服として着ていた衣服の色からきています。17世紀から20世紀の前半まで中国で栄えていた清朝の官吏を、「満大人(まんたーれん)」と呼んでいたものが訛って「マンダリン」と呼ばれるようになったと伝えられています。
「マンダリン」の香りと特徴
「マンダリン」の精油は、果皮に圧力をかけて絞る圧搾法によって採り出しています。ミカンの皮を外側に折りたたむと汁が出て、目に入るとしみる事がありますが、それが精油です。甘さと爽やかさが融合した優しい香りは、子供から高齢の方まで万人向けの匂いと言えます。作用も優しいので、赤ちゃんにも使える数少ない精油です。香料としてお菓子などの食品フレーバーや、苦味がある薬や小児用の薬を飲みやすくするための矯味剤として医薬品に添加されています。
「マンダリン」の使い方の例
元気にしてくれる
物事がうまく運ばない時や、失敗が続いた時などで気落ちしてしまっている時に「マンダリン」の香りが気分を上昇させてくれます。鎮静作用もあるので、かんしゃくを起こしたり、落ち着きを無くしたりしている子供にも効果が期待できます。
体調を上向きに
「マンダリン」の果皮を乾燥させて1年ほど置いたものは陳皮(ちんぴ)と言う生薬になります。陳皮には、胃を丈夫にしたり、食欲を増進したりする効果があり、咳止めにも使われています。精油にも同じような効果があるので、食欲の無い時や胃腸の調子が悪い時に使ってみてください。
お肌も元気に
血行促進の効果やうっ滞を取り除く作用があります。また、抗酸化作用も多く細胞の成長を促す効果もあるので、ケガによる傷痕の修復や妊娠線を薄くする効果もあります。マッサージやバスソルトなどで利用してみてください。
頭髪の悩みに
髪の成長を妨げる酵素を減らす作用があると言われています。血行を促進する事で健康な頭皮になり、抜け毛を減らす効果もあります。頭皮マッサージなどのヘアケアに利用してみてください。
「マンダリン」を使用する時の注意点
皮膚に使う場合
柑橘類の精油には光毒性のあるものがたくさんあります。「マンダリン」精油は作用が優しく、光毒性も少ないと言われていますが、肌に精油が付いたまま日の当たる場所や紫外線に当たらないほうがよいでしょう。また、皮膚刺激を起こす可能性も否定できません。肌の弱い方はパッチテストなどを行って、低濃度から使用してください。異常が現れた場合は使用を中止してください。
妊娠中の方や小さい子供に使う場合
赤ちゃんにも使えると言われる精油ですが、わずかな量を薄めて使ってください。芳香浴の場合でもほんのり香るくらいで利用してください。
「マンダリン」のまとめ
「マンダリン」は近年小売店でもよく見かけるようになりました。柑橘類には多くの種類がありますが、「マンダリン」はミカン類に属しています。小売店などでは「マンダリンオレンジ」と表示されていることが多いのですが、オレンジは同じミカン属でも違う種類になり、オレンジ類に分類されています。瀬戸内や紀伊半島などで多く栽培されている温州ミカンと同じく、手で簡単に皮がむける手軽に食べられる果物です。「マンダリン」は栄養価も高く、美容と健康に良い手軽で身近な果物の代表と言っても過言ではないでしょう。そして、その香りは、季節やシーンを問わず万人に好まれるオールマイティな香りと言えるのではないでしょうか。