原産地  日本
科名   モクレン科
特徴   木本
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   1,8-シネオール、シトラール、p-シメン

「ニオイコブシ」のご紹介

 早春に真っ白な花を咲かせるコブシは春の到来を告げる花の一つです。コブシによく似た芳香のある木が「タムシバ(田虫葉)」です。別名を「ニオイコブシ(匂辛夷)」と言って、コブシと同じく、早春に真っ白な良い香りのする花を咲かせます。

「ニオイコブシ」は、どんな植物?

 モクレン科モクレン属の落葉する広葉樹です。樹高は、日本海側では5m前後の低木に分類され、太平洋側では10m以上に育つ高木とされています。冬に花芽が付きますが、寒さに負けないよう銀色に見える産毛に包まれています。寒さが残る早春に咲く白い花は枝の先に付き、芳香を放ちます。枝や樹皮にも柔らかい香りがあります。花が終わった後に生える葉を噛むと甘みがあるので、「噛む柴」が訛って「タムシバ」と呼ばれるようになったと言われています。他にもサトウシバと言う別名もあります。

「ニオイコブシ」の主な産地

 日本の固有種で、比較的標高の高い山地に自生しています。本州と四国、九州に分布していますが、特に西日本と日本海側に多く、関東地方にはあまり自生していません。通常「ニオイコブシ」はコブシより先に咲きますが、東北ではほぼ同時に開花します。「ニオイコブシ」には甘みもあるので、冬眠から目覚めた熊が好んで食べているようです。日本各地の整備された森林がある場所で「ニオイコブシ」の精油が抽出されています。大規模に栽培されている所は無く、精油の材料となる木は自生している物を使います。

「ニオイコブシ」の香りと特徴

 葉と葉の付いた小枝を黄葉する前に刈り取り、水蒸気蒸留法によって精油を採り出しています。柑橘系の爽やかさと、ユーカリなどに代表されるスッキリとした香りに花の甘さを加えた、既に良い感じでブレンドされたような香りの精油です。日本の広葉樹から採れる精油は抽出量が非常に少なく、「ニオイコブシ」も材料の枝葉1㎏から精油は1㎖以下しか採れません。枝を折っただけでも芳香が漂うのですが、その成分を取り出すのは簡単なことではありません。

「ニオイコブシ」の使い方の例

心に活力を

 柑橘系の香りには集中力を高める効果があります。「ニオイコブシ」にも柑橘系の精油と同じ成分が多く含まれているので、同様の効果が見込めます。花のような甘みのある香りは沈み込んだ気持ちを浮き上がらせてくれます。また、何もする気が起きない、無気力になってしまった心を元気にする手助けにもなります。身の回りに優しく香らせてみてください。

身体を労わる

 鎮痛や抗炎症作用があり、血流を整える効果もあります。少しぬるめのお風呂でバスソルトなどに「ニオイコブシ」を1,2滴入れてゆっくり入浴してください。肩こりや筋肉痛の緩和、血行が良くなる事での疲労回復など、疲れた身体を労わって下さい。

呼吸器のケアに

 タムシバの蕾は「和辛夷(わしんい)」と言う生薬になります。呼吸器系の特に鼻の薬になります。精油にはユーカリなどに内包する成分と同じものが含まれているので、のどの痛みや咳、痰の手当に効果が期待できます。

「ニオイコブシ」を使用する時の注意点

皮膚刺激について

 入浴やボディトリートメントで「ニオイコブシ」の精油を使われる場合、敏感肌の方は注意が必要です。肌が赤くなったり、痛みを感じたりする刺激を与える事があります。パッチテストを行って異常の有無を確かめてから利用してください。

特定の成分について

 わずかですが、カンファーと言う成分が含まれています。これは稀に神経毒性を示すことがあります。従って、妊娠中の方や授乳中の方、乳幼児、てんかん症のある方は使用に注意が必要です。医師や専門家に相談してから利用するのがよいでしょう。

「ニオイコブシ」のまとめ

 真っ先に春を感じる「ニオイコブシ」の花は、雪が解けていく山に再び白い色を添えます。芳香を放つ花には食べ物の少なかった冬を越した小鳥が群がり花蜜を食べます。冬眠明けの熊も好んで食べると言われます。花が終わった後に出来る果実は、ゴツゴツした形で、握りこぶしの様に見える事からコブシと言う名になったと言う説があります。この果実も秋に赤く熟した頃には、多くの小鳥たちの食料となっています。また、人々の生活にも深く関わりあっていました。春、真っ先に咲くことから、農作業の目安にしたり、花の向きや咲く量で農作物の出来具合を占ったりしていたようです。このように「ニオイコブシ」は動物にも人にも山の幸として恵みをもたらしていました。今また、精油と言う形で新たな自然の恵みを得られる事は幸せなことなのではないでしょうか。

aromakomachi

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