「シダーウッド」のご紹介
木の香りは、爽やかでなんとなく懐かしくほっとするイメージがあります。日本の家屋が古くから木造であったことから、その様な印象を持つ人も多いのではないでしょうか。「シダーウッド」は木のぬくもりを感じる精油です。
「シダーウッド」は、どんな植物?
シダーと言うのは英語で針葉樹を表す単語として広く使われています。「シダーウッド」精油はマツ科のヒマラヤスギ属の樹木から抽出しています。原産地の地名を冠した「アトラスシダー」や、見た目の様子から「ホワイトシダー」と呼ばれている樹木です。樹高は40~50mにも及ぶ大木になり、針葉樹の特徴である針の様な葉は短く、松のような生え方をしています。松ぼっくりに似た実は上向きに付くのが特徴的です。枝が上向きに伸びるので綺麗な円錐形に育ち、ヨーロッパでは公園などの植木として好まれています。
「シダーウッド」の主な産地
アフリカ大陸の北の端に位置するアトラス山脈が「シダーウッド」の原産地です。アトラス山脈は、モロッコ王国、アルジェリア民主人民共和国、チュニジア共和国の3国にまたがり、延長は2,400㎞にも及ぶ北アフリカの屋根のような山々が連なっている地域です。大西洋側が高く、東に行くにしたがって低くなっていきます。モロッコにある最高峰は4,000m以上あります。標高が3,000m以上ある所では冬になると雪が降り、スキーが楽しめるリゾート地もあります。
「シダーウッド」の香りと特徴
木の中心部を水蒸気蒸留法によって精油を抽出しています。新しい木材のような匂いの中に微かな樟脳のようなスパイシーさのある香りの精油です。旧約聖書に出てきたレバノン杉の仲間と言う説があり、古代から神聖な場所で使われてきた香りです。精油は木の中心部から採り出さなくてはならないので、木を伐採する必要があります。古くから利用されていたので近年では自生している「アトラスシダー」の数が減ってきています。その為、原産地であるアトラス山脈の近辺では植林が行われています。
「シダーウッド」の使い方の例
落ち着く香り
心配事があったり、気疲れをしてしまったりして気持ちがザワ付く時に「シダーウッド」の香りを嗅いでみてください。鎮静作用があるので落ち着かない気分を和らげてくれます。また、睡眠の質を向上させることも期待できます。ぐっすりと熟睡できれば明日への活力を求める事も出来ます。
体液の流れを滑らかに
リンパの流れや血流を促進する効果があります。うっ滞と言って血流が滞ってしまう状態を緩和して、むくみの解消や冷え性の改善に役立ちます。また、脂肪の溶解を促すことができるので、セルライトのケアやダイエットにも効果が期待できます。入浴や足湯で利用してみてください。
ヘアケアに
皮脂の分泌を調整する働きがあります。脂肪分の多い髪質で、抜け毛やフケが多い方にお勧めです。無香料のシャンプーに1滴混ぜて使用してください。デオドラント効果もあるので、さっぱりした洗髪が出来るでしょう。
「シダーウッド」を使用する時の注意点
同じ名称でも違う精油があります
「シダーウッド」精油の原材料は、通常マツ科のヒマラヤスギ属の木を指しますが、他にもマツ科の木やヒノキ科の木から抽出した精油が「シダーウッド」の名前で売られています。間違った名前ではありませんが、学名を確認して購入してください。また、「シダーウッド」ではなく「ホワイトシダー」や「シダーアトラス」などの名前で売られていても同じマツ科のヒマラヤスギ属の木から抽出した精油です。いずれにしてもラベル等で確認する事をお勧めします。
使用に際して注意を必要とする方
収れん作用があるので、妊娠中や授乳中の方は使用を控えてください。香りが強いので、乳幼児がいる所での使用も控えた方がよいでしょう。また、てんかんの持病がある方は、病状を悪化させる可能性のある成分が含まれているので使用しないでください。
「シダーウッド」のまとめ
ヒマラヤスギの仲間は古代エジプトでも利用されていた樹木です。霊的な力があると信じられていて、ミイラを包む布地に精油を浸み込ませ、棺を作るのもこの木を利用していたと言われています。また、旧約聖書に記載されている神殿を建造する際に使った木材がアトラスシダーであったと言う説があり、大変古くから利用されていたことが伺えます。現在では精油に含まれている成分も細かく調べられ、様々な効能も化学的に立証されています。近年では人に対する良い作用があるだけでなく、防虫効果があることもわかってきています。木のぬくもりのある香りと共に不快な害虫を防ぐことができるのは、正に一石二鳥なのではないでしょうか。