「レモン」のご紹介
酸っぱい果物の代名詞であり、爽やかなイメージのトップでもある果実は、何と言っても「レモン」ではないでしょうか。また、明るい黄色はレモン色などと呼ばれ、「レモン」は日常生活の中に溶け込んでいると言える果実です。
「レモン」は、どんな植物?
ミカン科の常緑樹で、樹高は5mくらいまで育ちます。
花は基本的には5月頃に咲きますが、周年開花と言って条件さえ合えばいつでも咲きます。
紫色を帯びた蕾から表面の白い花が咲き、とても良い香りを放ちます。果実は最初緑色をしていますが、開花から約半年で黄色く熟します。
枝には棘があり、長くなった棘が果実を傷つけることもあります。葉は柔らかいので、蝶の幼虫などに食べられる食害にあう事があります。暑さには強く、寒い所では対策が必要となります。氷点下をかなり下回ると枯れてしまうので、寒冷地での栽培は難しいようです。また、乾燥に強く、潮風にも強いので、多くは温暖な海沿いで栽培されています。
「レモン」の主な産地
原産地はインド共和国のヒマラヤ山麓付近です。レモンの原種と言われるシトロンも同じ地域が原産地です。現在の一大消費地はヨーロッパで、レモンがヨーロッパに伝わったのは11世紀に十字軍の手によるところでした。しかし、耐寒性が無かったのでヨーロッパのほとんどの地域ではレモンは育ちませんでした。その為レモンはとても高価な果実となり、貴族などの富の象徴として扱われる事がありました。中世の頃になると寒さ対策の工夫を凝らし、徐々にレモンの栽培が増えてきました。大航海時代では、壊血病の予防のために大量のレモンが船に積まれるようになり、長い航海の間に壊血病で亡くなる人は皆無となりました。現在では地中海沿岸で他の柑橘類と共に盛んに栽培されています。
「レモン」の香りと特徴
「レモン」は、透明感のあるフルーツの香りにすっきりとした酸味が加わった香りがします。通常は、皮を加熱しないで絞る、低温圧搾法と言う方法で精油を採り出しています。この方法ですと精油に光毒性がありますが、日本で行われている皮を水蒸気蒸留によって精油を抽出する方法でしたら光毒性がとても少なくなります。しかし、水蒸気蒸留では香りや成分が若干劣ってしまいます。柑橘類の香り成分の大部分はリモネンと言う成分ですが、様々な良い効果が望める物質です。リモネンと言う名称は「レモン」が由来となっています。
「レモン」の使い方の例
落ち着きをもたらす
中枢神経に働きかける香りで、集中力を高める効果があります。「レモン」の香りを漂わせた部屋では、仕事のスピードや正確さが高まったと言う実験結果もあります。また、気ぜわしく焦っているような時にも「レモン」の香りが気持ちの安定を促してくれます。
全身の不快感に
血流を良くし、リンパの流れを促進する効果があります。むくみや高血圧などには沐浴に利用してみて下さい。筋肉痛や関節炎などではローションでマッサージすれば痛みを和らげてくれるでしょう。
肌のお手入れに
ニキビや吹き出物などのケアに、洗面器に精油を1滴たらした水で洗顔してみて下さい。皮膚刺激があるので、毎日ではなく、1週間に1度程度の利用にしてください。また、光毒性もあるので洗顔後は日に当たらないようにしてください。就寝前などが良いでしょう。
感染症の予防に
インフルエンザなどが流行する頃にアロマランプなどでお部屋に拡散してください。抗菌作用があるので予防効果が望めます。携帯用に普通の水道水に「レモン」の精油を混ぜたものをスプレー容器に入れて使うのも良いでしょう。
「レモン」を使用する時の注意点
光毒性があります
柑橘類の皮を圧搾法で取り出した精油には光毒性を持っているものがあります。「レモン」の精油にも光毒性があり、精油を肌につけて日光に当たると赤くなってしまうことがあります。肌の弱い方ではかぶれてしまうことがあるので、肌に精油をつけた時には日光に当たらないようにしてください。
皮膚刺激があります
お肌に良い効果のある「レモン」ですが、高濃度で使うと皮膚に刺激を与えてしまいます。特に敏感肌の方は注意が必要です。パッチテストを行うのが良いでしょう。入浴時に使う場合は乳化剤に混ぜるか、植物油に混ぜて使うと肌のあたりが柔らかくなります。
「レモン」のまとめ
日本に「レモン」が入ってきたのは明治の初めでした。最初は静岡県で栽培が始まりましたが、明治の半ば過ぎに広島の瀬戸内海に浮かぶ島々で栽培するようになりました。温暖な気候と内海なので風があまり強くないことが「レモン」の栽培に適していたようです。殺菌作用があり、爽やかな香りが食欲をそそる効果が「レモン」を料理に添えるようになったと言われています。そのまま食べるにはとても酸っぱいのですが、その刺激が国際宇宙ステーションで働く人々にとっては嬉しいものだったようです。日本の「レモン」は他の果物と一緒に宇宙でも食べられています。