「ティーツリー」のご紹介
大航海時代が終わりを迎える頃にイギリスから南に向かった船がありました。
南半球にはまだ発見されていない広い大地があったのです。
キャプテン・クックの名で有名な船長が発見したのはオーストラリアの大地だけではありません。長い船旅で疲れた体と心を癒すために、現地で調達した植物をお茶にして飲んだことから、この木は「ティーツリー」と呼ばれるようになったと言い伝えられています。
「ティーツリー」は、どんな植物?
フトモモ科の植物で樹高は5m以上にも及びます。常緑で葉は針葉樹のように細く、栽培地での春に煙るような白い綿毛に見える花を咲かせます。
この木が発見された時には、万能の薬草として原住のアボリジニの人々がすでに活用していました。この木の名称は少しややこしくて、本当は「メラレウカ」と言う種の木なのです。近縁種を含めて一般的な名称として「ティーツリー」と呼んでいます。
また、英語を日本語表記にする時にたびたび起こることですが、同じ植物なのに表示が「ティートリー」または、「ティートゥリー」となっている場合も多く見られます。
「ティーツリー」の主な産地
「ティーツリー」は、オーストラリア連邦に自生している樹木です。
最大の都市シドニーのあるニューサウスウェールズ州で採取される精油が最高級と言われています。18世紀にイギリスの海軍士官であり、探検家でもあったジェームズ・クックがこの地を発見しました。彼はニューサウスウェールズと命名しイギリス領となりました。
当初は流刑地として使われていましたが、19世紀に金鉱が発見されると一攫千金を夢見て世界中から人々が殺到してきました。現在は国内随一の工業地域に発展しています。
「ティーツリー」の香りと特徴
この精油にはグレードがあって、最高級のプレミアムは爽やかで抜けるような香りの中にかすかな甘みのある感じがします。水蒸気蒸留を用いて葉から精油を抽出しています。
この精油には薬効成分が多く含まれていてアロマテラピーだけでなく、色々な場で使われています。細菌やウイルスに強く、化学薬品の使用で生じる耐性菌がほとんど発生しない利点があります。普及品では殺菌作用を利用して洗剤などが作られ、洗濯や掃除にも使われています。この場合は,香りがプレミアムと違って薬品臭のようなツンツンした感じの匂いになります。
「ティーツリー」の使い方の例
気力を引き出す
落ち着きがなかったり、気分が落ち込んだり、ストレスで気疲れしたような時に使ってみて下さい。アロマポットやアロマランプなどを使った芳香浴をお勧めします。
爽やかな森林浴のような空間で気持ちが落ち着き、活力を取り戻すことが出来るでしょう。集中したい時にもお勧めできます。
皮膚のトラブルに
シアバターやミツロウを使ってアロマクリームを手作りすることができます。擦り傷などのケガや火傷、湿疹等、様々な場合に役立ちます。また、虫に刺された時に塗ると、治癒を早める事が出来ます。帯状疱疹にも効果が見込まれます。
病気の予防や緩和に
抗菌、抗ウイルス作用が優れていて、風邪の予防などに使えます。玄関先やお部屋にアロマライトやデフューザーを使って拡散させてください。のどの粘膜が持つ免疫力を強くする作用もあり、炎症を抑えることも期待できるので、気管支炎などの痛みを和らげることができます。
「ティーツリー」を使用する時の注意点
劣化が早いです
様々な効能のある「ティーツリー」の精油ですが、空気に触れると酸化してしまいます。殺菌や抗菌作用などには影響はありませんが、劣化して一番の問題は香りが逃げてしまうことです。開封したらなるべく空気に触れさせないようにしてください。
長期間にわたって使用しない
1週間から10日以上は続けて使用しないでください。
長期間続けて使うと肝臓に負担をかけてしまう可能性があります。また、せっかくの良い効果が効かなくなるようです。しばらく間をあけて使用してください。
名称に注意してください
「ティーツリー」として売られている物の中には「カヌカ」や「マヌカ」と言う植物もあります。それらも精油が採られていますが、成分や効能が大きく違います。また、「メラレウカ」と言う名前でも違う植物の場合があるので、信頼できるお店でラベルなどをきちんと確かめてから購入したほうがよいでしょう。
「ティーツリー」のまとめ
オーストラリアの先住民族であるアボリジニは、「ティーツリー」の葉を揉みつぶしてケガや皮膚の病気に使っていました。
良い香りのする樹木ではありましたが、薬として使うのは野蛮な方法とされていました。
しかし、第二次世界大戦の頃にはティーツリー油はオーストラリア兵の常備薬として使われていました。多くの化学薬品が作られるようになって一旦はティーツリー油の生産も少なくなりましたが、近年「ティーツリー」精油が再び脚光を浴びるようになり、生産量がとても増えてきています。