「マートル」のご紹介
上品な華やかさのある花は、女神に捧げる花としてふさわしいものです。その花は、新しい夫婦の門出を祝う祝宴に文字通り花を添える、清楚でありながらエレガントな花でもあります。「マートル」は和名を銀梅花(ギンバイカ)と言い、爽やかな香りがあり、白い雅なイメージの花を咲かせます。
「マートル」は、どんな植物?
「マートル」はフトモモ科の比較的低い樹木です。暑さには強い植物ですが耐寒性は低いので寒冷地ではあまり成長しません。銀梅花または、祝いの木と言う別名があり、夏に手毬のような形の蕾が付き白い梅に似た花が咲きます。花の中心から長く伸びた雄蕊が合歓木の花の様で、ふわっとした見た目の美しい花になります。秋になると実がついて完熟すると黒に近い紫色になります。実は甘みがあり、ヨーロッパでは料理にも使われています。ツヤのある葉はスッキリとした香りがするのでハーブとして利用されています。
「マートル」の主な産地
地中海沿岸の南ヨーロッパが原産地と言われています。花の美しさと葉や枝からの芳香があるので、古代より栽培されていました。フランス共和国のコルシカ島や、そのすぐ南に浮かぶイタリア共和国のサルディーニャ島では、「マートル」の実や葉を使ったお酒が古くから作られています。「マートル」の実は、胡椒がヨーロッパに伝わる前には肉料理などの匂い消しや香味付けとして使われていました。現在も地中海地方の肉料理には「マートル」の実が使われています。例えば、ボローニャ・ソーセージの元になったイタリアのソーセージには「マートル」の実が使われ、独特の風味があります。
「マートル」の香りと特徴
光沢のある葉を水蒸気蒸留法によって「マートル」精油は抽出されています。葉には多くの精油が含まれているので、葉を揉んだだけでもあたりに芳香が広がります。鼻に抜けるようなツンとした匂いが有名なユーカリ油やティーツリーの香りをまろやかにしたような香りがします。同じフトモモ科の植物の精油ですので香りが似ていますが、「マートル」の香りは柔らかな爽やかさを持っています。また、ラベンダーやスズランなどに含まれている成分と同じものがあるので、花の甘さも感じさせてくれます。
「マートル」の使い方の例
気持ちを穏やかに
「マートル」の香りには優れた鎮静作用があります。良くない事が起きてしまい興奮してしまっている時や、やらなければいけない事が多すぎて軽いパニック状態になってしまった時などに役立ちます。「マートル」の香りは気持ちを落ち着けて冷静にさせてくれます。また、なかなか寝付けない時や何度も目が覚めてぐっすり眠れない時にも安眠できる効果が期待できます。寝室に優しく香らせてゆっくりお休みください。
呼吸器のケアに
抗炎症作用や抗菌作用があり、免疫力を向上させる効果もあります。風邪などで咳が出る時や鼻詰まりの解消が望め、花粉症の諸症状の軽減にも役立ちます。抗菌や抗ウイルス作用もあるので、お部屋に「マートル」の香りを広げれば風邪やインフルエンザの予防もにも役立ちます。
お肌の回復に
「マートル」には優れた抗菌作用や消毒の効果があります。加えて、収れん作用もあるので、シワやたるみを引き締め、ニキビや吹き出物のケアにも使えます。バスソルトや入浴剤として使ってみてください。クリームや化粧水に使うのもよいでしょう。
「マートル」を使用する時の注意点
妊娠中の方
血管や体内組織を縮める効果のある収れん作用があるので、妊娠中の方は使用を控えてください。授乳中の方も使用は控えた方がよいでしょう。
皮膚刺激について
お肌に良い効果もありますが、使い方によっては皮膚に刺激を起こす場合があります。特にお肌の弱い方は注意が必要です。低濃度で皮膚に厚みのある場所からパッチテストを行ってみるのがよいでしょう。異常が無ければ少しずつ使ってみてください。
「マートル」のまとめ
世界中には様々な神話や伝説があります。その中には多種多様な神様が登場します。現在でも色々な地域で多くの人々の信仰を集めている神様もいます。「マートル」の花は特に女神に捧げる花として古くから祭壇に飾られてきました。ギリシャ神話のデメテルやアフロディーテ、現在の中近東にあたる場所で栄えたシュメールの女神イナンナなど美や豊穣を司る神々にふさわしい花です。女神は愛を司る事も多かったので、結婚式の花嫁が持つブーケや式場の飾りにもよく使われています。「マートル」は、イワイノキと言う別名があるのも頷ける、古くから愛されている花の咲く木なのではないでしょうか。