原産地  熱帯~亜熱帯アジア
科名   ショウガ科
特徴   草本
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   p-シメン、1,8-シネオール、テルピネン-4-オール、リナロール、α‐ピネン、リモネン

「ゲットウ」のご紹介

 その土地に生えている植物をそこで暮らす人々が経験を重ねてどのように役立つのかを知識として積み上げ、有用な植物は薬草としても利用してきました。従って、地球上の様々な場所で伝統的に利用されてきた薬草が存在します。「ゲットウ」は沖縄で古くから使われている薬草の一つです。

「ゲットウ」は、どんな植物?

 「ゲットウ」はショウガ科ハナミョウガ属の多年生植物です。亜熱帯域の適度に湿度が高い地域を好んで自生しています。茎は無く、葉の根元が次の葉を包むように伸びる偽茎(ぎけい)と言う形で上に伸びていきます。草丈は2~3mになり、初夏に咲く花のつぼみが薄いピンク色をしていて、形が桃に似ていることから月桃(げっとう)と言う名がつきました。藤の花の様にたくさんの花が房状に下がり、白い花の先は濃いピンク色をしていて、内側は黄色のカラフルで美しい花が咲きます。秋になると実が赤く熟します。

「ゲットウ」の主な産地

 熱帯から亜熱帯のアジアが原産地と言われています。「ゲットウ」には複数の種類があり、主にシマゲットウとタイリンゲットウの2種から精油が抽出されています。沖縄県に古くから自生していて、様々な有用性があることから民家の庭先などでも栽培されています。沖縄は、日本の戦国時代の頃から明治維新の少し後まで琉球と言う王国でした。明治維新の後に日本の領土とされ、第二次世界大戦後にアメリカの統治を受け、再び日本に返還されたと言う波乱の歴史があります。その様な歴史の中で育まれた伝統には独特のものがあり、島外から来る人々を魅了しています。

「ゲットウ」の香りと特徴

 「ゲットウ」の精油は葉から水蒸気蒸留法で抽出しています。地下茎に蓄えられている精油は、花が咲く前になると地上部に移動して葉にも蓄えられるようになります。その為、花が咲く直前の葉に精油が多く含まれるので、初夏の頃に抽出されます。温もりのある甘さと清々しい香りが混じり、ショウガ科の植物であることを感じさせるスパイシーさも兼ね備えています。南国の独特な爽やかさを持つ香りは、石鹸や化粧品にも利用されています。

「ゲットウ」の使い方の例

集中したい時に

 「ゲットウ」の香りは脳を刺激すると言われています。試験前の勉強や大事な仕事の前に、コットンなどに1滴垂らして香りをゆっくり吸い込んでみてください。また、安定した気持ちにさせてくれる効果もあります。ストレスや不安感などを追い払って心を穏やかにしてくれます。

身体の様々な痛みに

 優れた鎮痛作用を持つ精油です。神経の鎮静作用もあるので、肩こりや腰痛、頭痛など様々な痛みを和らげてくれる効果が期待できます。血流やリンパの流れも促してくれるので、疲労回復にも役立ちます。アロマバスでゆったりとした時間をとって下さい。

疲れたお肌の回復に

 「ゲットウ」には赤ワインの30倍以上のポリフェノールが含まれている事が分かっています。ミネラルも豊富で、抗酸化作用もあり、保湿効果もあります。日焼けや乾燥でダメージを受けたお肌のお手入れに利用して下さい。

ホームケア

 「ゲットウ」には防虫や防カビの効果があります。不快な害虫が出たり発生したりする場所に、「ゲットウ」の葉を置くだけで害虫が寄り付かなくなると言われています。精油を抽出する過程で得られる芳香蒸留水でしたら価格も比較的安価になるので、拭き掃除などにも利用できます。

「ゲットウ」を使用する時の注意点

妊娠中の方

 基本的には禁忌のない精油です。しかし、「ゲットウ」のハーブティーは妊娠中の方は避けた方がよいようなので、アロマとしても使用を控えた方がよいでしょう。

「ゲットウ」の亜種について

 「ゲットウ」にはいくつかの種類があります。台湾北部に自生している月桃は、花が上向きに咲きます。台湾北部の月桃と沖縄に自生している月桃の交配で生まれたタイリンゲットウからも精油が抽出されています。成分が多少異なりますので、購入する時には注意が必要です。

「ゲットウ」のまとめ

 「ゲットウ」は、沖縄だけでなく小笠原諸島や八丈島にも自生しています。沖縄では古くから様々な事に活用されている植物です。冬至の前に作られる餅(ムーチー)は、月桃の葉で包み蒸すだけですが、香りの高いお菓子です。葉に防腐作用があり、防虫効果もあることで腐りにくいと言われています。種子は乾燥させたものを、白手伊豆縮砂(シロデイズシュクシャ)と言って芳香のある健胃薬として使われています。葉にはポリフェノールが多く含まれているので、健康に良いお茶として利用されています。美しい花は観賞用としても好まれていて、「ゲットウ」は植物全体が有効利用されていると言えるのではないでしょうか。

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