「ユーカリ・グロブルス」のご紹介
ユーカリと聞けば、オーストラリアに住むコアラが食べている姿を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。しかし、昔から日常的に使っている様々なものに使用されていることを知らない人もたくさんいるのではないかと思われます。
「ユーカリ・グロブルス」は、古くから日常生活に溶け込んでいる香りの一つです。
「ユーカリ・グロブルス」は、どんな植物?
オーストラリアに自生するフトモモ科の植物で、600以上の種類があります。50m以上の樹高があり、タスマニア島には100m近い木もあると言われています。柳の葉を広くしたような葉があり、種類によって開花時期が異なりますが、白や黄色、赤系の綿毛のような花が咲きます。根は地中深くまで伸びて地下水から水分を補給します。その為、乾燥した土地でもよく育ちます。もともと繁殖力の強い木なので、砂漠地帯を緑化するために植林されている所があります。また、吸水力も強いので、逆に湿地帯を乾かすためにも利用されています。
「ユーカリ・グロブルス」の主な産地
ユーカリはオーストラリア連邦が原産地です。現在では世界の多くの国で栽培されていますが、精油の生産をはじめ、種類や自生している面積は一番です。オーストリア連邦の森の約4分の3が様々なユーカリの木で構成されています。この国では自然発火による山火事が頻繁に起こっていますが、これはユーカリに起因しています。ユーカリの木には引火性のある成分が含まれていて、夏季にはその濃度が上がります。そこへ高温や落雷などで、わずかでも火が付くとたちまち燃え広がってしまいます。ユーカリの木は樹皮が燃えやすいので、火災が広がる原因にもなっています。しかし、この現象はユーカリが新芽を出し、若い枝を伸ばす役に立っているのです。
「ユーカリ・グロブルス」の香りと特徴
鼻に抜けるような透明感のある香りです。森林浴をしているような、新鮮な樹木を思い浮かべる匂いがします。乾燥させた葉を水蒸気蒸留によって精油を抽出します。ユーカリの木は数百種類ありますが、精油を採りだしているのはその中の数種類です。「ユーカリ・グロブルス」は一番多く流通している精油で、古くからユーカリ油として知られています。様々な効果があり、清潔感を引き出せる香りが石鹸や防虫剤などに利用されてきました。また、殺菌作用や抗炎症、鎮痛作用があるので万能薬としても使われています。
「ユーカリ・グロブルス」の使い方の例
呼吸器の不快感を鎮める
風邪や花粉症で鼻詰まりや、のどのイガイガを取り除きたい時に使ってみて下さい。カップなどにお湯を入れて精油を1滴入れ、立ち上る香りをゆっくり吸い込んで下さい。
衣類などの虫よけ
防虫作用があるので、木材のチップや小さな木切れに精油を含ませてクローゼットの片隅に置いて下さい。効果が薄れたら再び精油を含ませると繰り返し使うことができます。
また、洗濯の時に洗剤と一緒に使うと消臭も期待できます。安価な精油なので、拭き掃除の時にバケツに2~3滴入れて使うとダニ予防にも効果があります。
気持ちを整える
なんとなくすっきりしない時などに、「ユーカリ・グロブルス」の透明感のある香りを吸い込めば周りが明るくなったようになります。鎮静作用もあるので、勉強や仕事など集中したい時にも効果があります。
肌のトラブルに
殺菌や炎症を抑える作用があります。ニキビや吹き出物のケアにローションを使ってみて下さい。虫刺されにも効果があります。抗真菌作用もあり、水虫の治癒にも役立ちます。熱めのお湯に精油を入れて足湯にして使ってみてください。
「ユーカリ・グロブルス」を使用する時の注意点
刺激が強い
様々な効能のある「ユーカリ・グロブルス」ですが、強い木から採れる精油はやはり強い刺激もあります。肌に直接つける場合は薄めて使うようにしてください。敏感肌の方はパッチテストを行うか、使用を控えた方がよいでしょう。また、小さい子供や妊娠中の方は使わないでください。
香りが強い
呼吸器系に良い効果がありますが、強い香りがあるので、早急に吸い込まないでください。咳き込んでしまう事があります。薄めて使うか、少量で使うのがよいでしょう。また、芳香浴などでは長期間続けて使用しないでください。
複数の種類があります。
一般的にユーカリ油として売られているのは「ユーカリ・グロブルス」が一番多いのですが、他にも精油を採っているユーカリの木があります。効能や成分が違うので名称を確かめてから購入するようにしてください。
「ユーカリ・グロブルス」のまとめ
ユーカリの木は精油を採るためだけでなく様々な利用法があります。繁殖力が高い性質から、ジャングルの樹々を伐採した後に緑化を進めるために植林されたり、蚊の繁殖を防ぐ為にアフリカの湿地を乾燥する目的で植えられたりしています。また、成長が早いので比較的短い年月で大木になります。これを利用して、最近では紙の原料となるパルプの製造に使うことが進められています。また、精油の香り成分の為に鳥獣が近づきにくい為、畑など農地のそばに植えられることもあります。このように数え上げればキリがないほど有益な樹木は、正に自然の恵みと言えるのではないでしょうか。