「カルダモン」のご紹介
バニラやサフランと共に世界三大高級スパイスと言われる「カルダモン」は、最古のスパイスの一つにも挙げられている香辛料です。古代文明の時代から生薬として使われ、複雑な香りを持つことから神に捧げる「聖なる薫香」の中にも入っていました。
「カルダモン」は、どんな植物?
「カルダモン」はスパイスとしての名前で、ショウズク(小豆䓻)と言う植物の種子です。ショウズクはショウガ科の多年草で高温と高い湿度を好み、成長すると2~3mにもなります。クマザサの葉を大きくしたような細長い葉を持ち、花穂が伸びてランに似た白や薄紫色の花を咲かせます。根はショウガのように不規則で、でこぼこした形をしています。花が咲き終わった後に緑色のラグビーボール形の小さな莢が出来て、その中に少し角ばった黒や茶色の種があります。種子はそのまま食べることもありますが、挽いて粉にして料理などに使われます。
「カルダモン」の主な産地
ショウズクはインドや東南アジアの広い地域が原産地とされています。高温で湿度の高い熱帯雨林がショウズクの育成に適していて、特にインド南部の高地には広い範囲で自生している所があります。また、南米のグアテマラでは、20世紀の初めにコーヒー農園の経営をしているドイツ人がインドから種子を持ち込んで栽培をはじめました。現在もグアテマラの「カルダモン」の生産は、コーヒーと共に世界でもトップクラスの生産量を誇っています。
「カルダモン」の香りと特徴
「カルダモン」の精油は乾燥させた種子を水蒸気蒸留によって抽出しています。強く清涼な香りで、レモンの様な爽やかなフルーツの香りとわずかな甘さが混じります。神様に祈りを捧げるような場で、厳かな雰囲気を作り出す為に焚くお香の中にも使われていたことから「高貴なる香り」と呼ばれる事があり、複雑な香りで「香りの王様」とも呼ばれています。素晴らしい香りを持つ「カルダモン」は、莢のまま乾燥させて種子を採り出しそのままスパイスとして使われることが多いのですが、莢から種子を採り出すと早い時間で香りが飛んでしまいます。その為、産地から加工する場所までは莢のまま流通させています。
「カルダモン」の使い方の例
胃腸の不快解消に
病気ではないけれど、なんとなくお腹が張る時や少し下痢気味な時などに、「カルダモン」を加えたバスソルトなどでゆっくりとした入浴タイムを試してみてください。血行を促進する成分もあるので、肩こりや腰痛の改善も期待できます。
アクティブに動きたい時
家事や仕事などやらないといけない事がたくさんあって、テンションを上げて精力的に片付けたい時などに、アロマランプやディフューザーなどで「カルダモン」の香りを広げてみてください。脳に良い刺激を与えてくれるので、様々な事柄に活動的に取り組めるでしょう。
消臭効果
「カルダモン」の種を齧ると口臭が消える事は古来より知られていました。加齢臭や汗の匂いなど気になる体臭を消す効果があります。手軽な方法では、無香料のシャンプーやボディシャンプーに1滴加えて使用してみてください。
「カルダモン」を使用する時の注意点
肌に刺激を与える
基本的には使用を控えたほうがよい人はありませんが、敏感肌の方には稀に刺激を与えてしまうことがあります。肌が赤くなったり痒みや痛みを感じたりした時は、肌に当たる使用は避けてください。
香りが強い
「カルダモン」は香りが強力です。ブレンドして使う時は1,2滴など少量で使用してください。せっかくのブレンドを台無しにしないためにも少しずつ試してみてください。
学名と産地を確かめて
「カルダモン」には亜種や近縁種もあります。また、産地によって香りが若干違うことがあります。エレッタリア・カルダモムムと言うのが学名です。ラベルなどで確かめて、信頼できるショップで購入してください。
「カルダモン」のまとめ
カレーは様々なスパイスが使われていて複雑で香り高い料理ですが、その中でも「カルダモン」は欠かせないスパイスの一つです。インドのミルクティー、チャイにも独特の香りを持たせるために必ず入っているスパイスです。「カルダモン」は紀元前にはヨーロッパに持ち込まれ、料理やお菓子、飲み物に使われるだけでなく頭痛薬や口臭消しなど様々に利用されていました。また、高貴な香りを得るために、古代文明が栄えた頃のある王様の庭に植えられていたとも言われています。「カルダモン」は、古来より王侯貴族から若い学生まで様々な人々に必要とされてきたスパイスと言えるでしょう。