レビー小体型認知症とは
実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が目立ちます。また、手足が震える、小刻みに歩くなどパーキンソン症状がみられることもあります。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することも特徴的です。
原因
脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質の塊がみられます。このレビー小体が大脳に広くに現れると、その結果、認知症になります。
主な症状
認知機能障害
注意力がなくなる、ものがゆがんで見えるなどの症状が現れます。レビー小体型認知症では、最初は記憶障害が目立たない場合もあります。
認知機能の変動
時間帯や日によって、頭がはっきりしていて物事をよく理解したり判断したりできる状態と、ボーとして極端に理解する力や判断する力が低下している状態が入れ替わり起こります。
BPSD(行動・心理症状)
- 幻視
- 実際には見えないものが本人にはありありと見える症状です。見えるものの多くは小動物や人で「ねずみが壁を這い回っている」「知らない人が部屋に座っている」などと、具体的です。また、人形を女の子と見間違ったり、丸めてある洋服を動物と見間違うなどの「錯視」もよくみられます。
睡眠時の異常言動
眠っている間に大声で叫んだり、怒鳴ったり、奇声をあげたり、暴れたりすることがあります。レム睡眠中に起こしやすいことから、レム睡眠行動障害といいます。
※レム睡眠は、身体は寝ているが脳は活動している状態なので、夢を見ていることが多くあります。
抑うつ症状
気分が沈み、悲しくなり、意欲が低下する症状です。抑うつ症状は、レビー小体型認知症の人の約5割にみられるともいわれます。
身体面の症状
自律神経症状
血圧や体温、内臓の働きを調整する自律神経がうまく働かず、身体的にさまざまな不調をきたします。立ちくらみ、便秘、異常な発汗・寝汗、頻尿、だるさなどがあります。場合によっては、めまいを起こして倒れたり、気を失う危険もあります。
わかりにくい「レビー小体型認知症」
レビー小体型認知症は、患者様によって症状の現れ方が異なります。また、時間帯や日によって症状が変動するので、正しく診断しにくい病気です。
そのため、初めにパーキンソン症状が現れて「パーキンソン病」と診断された後に、記憶障害が出てきてレビー小体型認知症とわかったり、逆にもの忘れでアルツハイマー型認知症だと思われた後にパーキンソン症状が現れてレビー小体型認知症と診断されるケースもあります。その他にも高齢者の場合には、うつ病と診断された後、徐々にレビー小体型認知症の症状が現れることがあります。
ご家族の対応のポイント
転倒に注意しましょう
パーキンソン症状で筋肉や関節がこわばり、歩行が小刻みになるため、つまずいたり、転びやすくなります。また、立ち上がった際にふらつきや、めまいを起こして倒れたり、気を失ったりすることがあります。
ポイント
イスからの立ち上がりや階段では手すりを使う。
つまずきやすいものは片付け、家の中を整える。
食べ物が飲み込みにくくなります
症状が進行すると飲み込む機能が衰えて、唾液や食べ物が気管に入ってしまうことがあります(誤嚥)。むせて吐き出せるとよいのですが、吐き出せないと肺炎を起こしやすくなります。
- ポイント
食事の時は前かがみの姿勢をとり、家族が見守る。
細かく刻む、トロミをつけるなど、調理を工夫。
レビー小体型認知症チェックリスト
もしかして、レビー小体型認知症?チェックしてみましょう。
5個以上該当するようであれば、レビー小体型認知症の可能性があります。
監修
横浜市立大学 名誉教授 小阪憲司
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 水上勝義
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