原産地 地中海沿岸
科名 シソ科
特徴 木本
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分 チモール約50%、p-シメン約20%、リナロール約4%、カルバクロール約3%
「タイム」のご紹介
太古の昔から人々はより良い暮らしを求めてきました。今では科学技術によって様々な物が作られていますが、人類の初めの頃は全て大自然の中にあるものを利用して生活していました。中でも薬草類は命に係るものが多く、古来より使われてきた薬草は現代でも使われています。「タイム」は、数千年前から利用されている薬草の一つです。
「タイム」は、どんな植物?
シソ科の植物で、草に見えますが、樹木に分類される植物です。樹高は40~50㎝くらいの低木になります。芽吹いたころには草花のようですが、成長するにつれて根元の方が木の様に硬くなります。小さな楕円形の葉が対になって付き、初夏の頃に薄い紫やピンク、白の小さな花が茎の先にかたまって咲きます。「タイム」にはたくさんの種類があり、品種改良によって作られた栽培種を含めると数百種に上ります。精油に使われるのは「コモンタイム」と呼ばれる種です。これにもケモタイプと言って、育つ環境によって成分の違う物が数種類あります。
「タイム」の主な産地
「タイム」は地中海沿岸が原産とされています。300種以上あると言われている「タイム」は、比較的乾燥した砂や小石混じりの土地を好み、高温多湿を嫌う植物なので、温帯域の湿度が低めの場所であればどこにでも自生しているといっても過言ではありません。日本にも伊吹麝香草(いぶきじゃこうそう)と言うタイムの仲間が自生しています。「コモンタイム」は江戸時代に薬草として持ち込まれ、立麝香草やチムス草と呼ばれていました。
「タイム」の香りと特徴
「タイム」は、花や葉が付いたままの茎を水蒸気蒸留法によって精油を抽出しています。一般的な精油の採り出し方と違い、2段階に分けて抽出しています。1回目の蒸留で採り出された精油は成分が濃く、香りもきつくなります。これを「レッド・タイム」と言います。「レッド・タイム」を再び蒸留すると成分が穏やかになり、香りも柔らかくなります。これを「ホワイト・タイム」と言います。香りはケモタイプによって違いがあります。代表的な「タイム・リナロール」は、柔らかな甘さとフルーツの様な爽やかさが混じります。「タイム・ゲラニオール」は、バラに似た甘みのある花の様な香りです。「タイム・チモール」はスッキリとした清々しさのある香りがあります。
「タイム」の使い方の例
「タイム・リナロール」
「タイム」の中でも一番作用が穏やかです。殺菌や抗菌作用があり、スキンケアにお勧めです。精油を採り出す時に出来る芳香蒸留水は赤ちゃんにも使えます。また、ハーブティーや芳香蒸留水でうがいをすると風邪などの予防に役立ちます。
「タイム・ゲラニオール」
花のような香りを持つ「タイム・ゲラニオール」は精神的に疲れた時に役立ちます。気持ちを強くして、元気に立ち直る力を与えてくれます。バスソルトなどに少し入れ、入浴時に使ってゆっくりとしたバスタイムを過ごしてみてください。お部屋に香りを漂わせるのも効果的です。
「タイム・チモール」
「タイム」の中で一番殺菌や消毒の作用が強い精油です。防腐剤や殺菌剤として使われるチモールと言う成分が多く含まれ、感染症のケアなどに使われます。効果が強いので取扱いに注意が必要となり、一般にはあまり使われません。
「タイム」を使用する時の注意点
強い香りがあります
香りが濃いので、薄めて使うのがよいでしょう。他の精油とブレンドする際もわずかずつから試してください。
妊娠中の方
妊娠初期はホルモンバランスが安定していないので、使用しないでください。中期以降は専門家に相談しながら使うのがよいでしょう。
「タイム・チモール」について
肌に着いた時に赤くなったり、かぶれたりする皮膚刺激を起こす可能性があります。また、精油の成分は呼吸器や肌から体内に入りますが、「タイム・チモール」には肝臓に対して悪影響を与える可能性がある成分が含まれています。作用の強い精油ですので、使用には細心の注意と十分な知識が必要となります。
「タイム」のまとめ
最古の薬草の一つと言われている「タイム」は、古代エジプトのファラオを埋葬する時にミイラの防腐剤として使われていました。中世ヨーロッパでは、良い香りの「タイム」が悪夢を追い払い、安眠をもたらしてくれるとして枕の下に置いて就寝していたそうです。「タイム」の花言葉は勇気ですが、勝利のハーブとして貴婦人や淑女たちが騎士や戦士に贈り物をする際に添えていました。現在では「タイム」から抽出した成分を使った薬品が数多く作られ、防腐剤や保存料などに使われています。また、精油を使った消毒薬やうがい薬なども作られています。
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