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イニュラ(Inula)

原産地  地中海沿岸
科名   キク科
特徴   草本
抽出部位 花・葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   酢酸ボルニル、ボルネオール、カンフェン

「イニュラ」のご紹介

 華やかではありませんが、ギリシャ神話にある樹木信仰の女神ヘレネーにちなんだ名を持つ草花があります。古来よりハーブや薬草として利用されてきた「イニュラ」は、草全体に芳香があり、薬用成分もある植物です。

「イニュラ」は、どんな植物?

 キク科のオグルマ(小車)属の草花です。草丈は1m以上になり、夏に咲く花は明るい黄色のたんぽぽ、または、小さなひまわりのようです。オグルマ属には細かく分けて約100種がありますが、多くの種に芳香があります。日本にも4種が自生していて、その中の1つは日本固有種です。園芸用やハーブティーにするために植えられるものは、「エレキャンペーン」と言うギリシャ神話に出てくる絶世の美女ヘレネーに起因した名で広く世界中で栽培されています。

「イニュラ」の主な産地

 世界中に広く分布している植物ですが、地中海沿岸に多くの種が自生しています。薬草としてはモロッコ産が有名ですが、精油を抽出する目的で栽培されているのはギリシャやブルガリア、フランスなどです。特にフランス共和国の南東にある地中海に浮かぶコルシカ島は、ハーブの島として有名な所です。コルシカと言う名称はイタリア語でフランス語ではコルスと言います。ナポレオンが生まれた島として有名ですが、有史以前から人が住み、様々な時代の遺跡と素晴らしい自然が多くの観光客を魅了しています。

「イニュラ」の香りと特徴

 「イニュラ」の精油は花や葉、茎など草全体を水蒸気蒸留法によって採り出しています。カンファーと言う樟脳に含まれている成分があり、墨のような清々しい香りにミントのようなハーブの香りが混じります。薬臭いと感じる時もあるようです。「イニュラ」の一番の特徴は精油の色にあります。緑色をしたものと青緑色のものがあり、いずれも美しい色をしています。全く同じ精油ですが、蒸留する時に使われる器具の素材によって色が変わります。ステンレスの蒸留器を使った時には透き通るグリーンで、銅の蒸留器を使用した場合には金属反応によって化学変化を起こし、青みのある緑のターコイズブルーになります。

「イニュラ」の使い方の例

落ち着きを求める時

 鎮静作用があるので、ストレスによるイライラや不安感を鎮め、気持ちを落ち着かせてくれます。また、鋭く爽快な香りは仕事に集中したい時にも利用できます。身の回りに少し香らせる程度に使ってみてください。

呼吸器の不調に

 粘液を溶かす成分があるので痰を切りやすくしてくれます。風邪などでのどの痛い時や気管支炎のケアにも有効です。また、鼻詰まりの解消にも役立ち、近年では花粉症のケアにも有効であるとされています。蒸気吸入や入浴剤としてお勧めです。

心機能のケアに

 精油の効能としては珍しい心機能のケアに有効な成分が含まれています。心機能を整え、心拍数の乱れによる不整脈の改善がみられると言う報告もあります。

「イニュラ」を使用する時の注意点

アレルギーについて

 ブタクサと言う植物は花粉症を引き起こすアレルゲンの一つで、「イニュラ」と同じくキク科の植物です。ブタクサによる花粉症のある方や、その他イネ科の植物によるアレルギーのある方は使用しないでください。

皮膚刺激

 「イニュラ」の精油は皮膚刺激を与えることがあります。特に敏感肌の方は注意が必要です。香りの強い精油ですので、わずかな量で使用できます。低い濃度から試してください。入浴剤として利用する際には、乳化剤や植物油に混ぜて十分に薄めてから使用してください。

「イニュラ」のまとめ

 「イニュラ」とはオグルマ属の英語読みです。オグルマ属の植物には多くの種類があり、精油を採るために栽培されている物が数種類があります。芳香のある草花が園芸用として好まれ、また、薬草としても古代から栽培されてきました。東洋では漢方薬の材料として使われる種もあり、精油と同じく咳止めや痰を切るための効能のある薬とされています。「イニュラ」には「イヌリン」と言う成分が多く含まれ、糖分ではありますが糖としては吸収されず、植物繊維として腸内の環境を向上させる働きをします。高血圧や糖尿病などの生活習慣病に有効な成分です。このような「イニュラ」の有効成分は近年になってから判明しましたが、遥かな昔から人々は「イニュラ」が様々な病気に役立つことを知っていたのではないでしょうか。

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