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ブラックスプルース(Black spruce)

原産地  カナダ・北アメリカ・アラスカ
科名   マツ科
特徴   木本
抽出部位 葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
成分   酢酸ボルニル、カンフェン、α‐ピネン、δ-3-カレン

「ブラックスプルース」のご紹介

 地球上の一番寒い所と言えば南極や北極です。その極地に近い場所でも育つ樹木があります。極寒の地での数少ない緑を提供している木が「ブラックスプルース」です。寒さに耐えて作り出される森の香りの精油をご紹介します。

「ブラックスプルース」は、どんな植物?

 「ブラックスプルース」はマツ科のトウヒ属に属する常緑の針葉樹です。日本語では黒唐檜(くろとうひ)と言います。寒い地域で育つので成長は遅く、樹高は5~15mくらいの小さめの針葉樹です。葉は杉や樅の葉に似た短い針状の葉が枝に密集して付きます。出来たばかりの実は濃い紫色をしていて、およそ2年で熟し茶色の松ぼっくりの様な形になります。典型的なクリスマスツリーの様な綺麗な円錐形に育ち、樹高が低く小振りなので公園などの植木に好まれています。

「ブラックスプルース」の主な産地

 耐寒性がとても強い木なので北極圏に近い所でも育ちます。アメリカ大陸の北部、カナダやアメリカ合衆国のアラスカ州で大規模な森を形成しています。「ブラックスプルース」は湿地を好む性質があり、タイガと呼ばれる永久凍土のある地域で多くの木々が育っています。タイガとは針葉樹林を表すロシア語です。夏になると永久凍土が溶けるので、そこからの水分によって木が育ちます。真っ白な雪に閉ざされる冬季でも「ブラックスプルース」やモミ、マツなどの針葉樹が彩を添えています。

「ブラックスプルース」の香りと特徴

 「ブラックスプルース」の葉を使い、水蒸気蒸留法で精油を採り出しています。ツンとした香りの中に少し苦味を含んでいます。樹木系の香りはたくさんありますが、「ブラックスプルース」は特に濃い針葉樹の香りがします。成長が遅い為、香りも凝縮されているような感じです。カナダにある「ブラックスプルース」が多く育つ森林では、森に入ると精油と同じような香りがあたり一面に漂っていると言われています。正に森林浴の香りと言えます。

「ブラックスプルース」の使い方の例

心を軽く

 様々な要因で焦燥感があり、神経が過敏になっている時に「ブラックスプルース」の香りが役立ちます。張りつめてしまった心を解きほぐして、余裕を持たせてくれるようになります。「ブラックスプルース」を身の回りに香らせると、森の中にいるような穏やかな気持ちになれます。

喉の調子が悪い時に

 痰を切り、咳を抑える効果があります。喘息や気管支炎で喉が辛い時に試してみてください。「ブラックスプルース」の香り成分が痛みや違和感を緩和してくれるでしょう。また、抗菌作用や抗ウイルス作用もあるので、風邪やインフルエンザの予防にも役立ちます。

乾燥肌のケアに

 「ブラックスプルース」精油には、副腎皮質ステロイドホルモンに似た働きをする成分が含まれています。優れた抗炎症作用もあり、乾燥によって起こる肌荒れや痒みを抑える効果があります。最近ではアトピー性皮膚炎の症状緩和にも役立つと言う報告もあります。マッサージや入浴剤として利用してみてください。

「ブラックスプルース」を使用する時の注意点

妊娠中の方

 「ブラックスプルース」は優れた効能がありますが、比較的穏やかな精油です。しかし、精油はその植物を凝縮したものと言えます。妊娠中は様々な物事に敏感になるので、使用は控えた方がよいでしょう。

お肌に使用する場合

 皮膚に対して良い効果を求める事のできる精油ですが、使用については多少の注意が必要です。特に弱っている肌の手当に使われる場合は、まず低い濃度でパッチテストを行ってから使用してください。お肌の質によっては合わない場合があります。パッチテストで異常があった場合は使用を中止してください。

「ブラックスプルース」のまとめ

 スプルースとはトウヒ属の事で、世界におよそ30種があり、そのほとんどが寒い地域で自生しています。建材として利用されるものもありますが、中にはヴァイオリンやギターなどの弦楽器やピアノの素材となる種類の木もあります。「ブラックスプルース」は、小振りな樹木なので建材などに使う木材としてはあまり利用価値の無い木でした。その為、紙を作るためのパルプや日本ではお馴染みの箸を作る材料として使われています。木材として使うのは樹木の幹の部分だけで、以前は小枝や葉は廃棄物として処分されていました。しかし、その廃棄物から有用な成分が多く含まれた精油が採れることが分かり、今では捨てる所のない木となりました。「ブラックスプルース」は必要ないとされていたものが実は宝物だったと言う、物語になりそうなエピソードがあったと言える精油ではないでしょうか。

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